ネット銀行をメインバンクにする中小企業経営者が増えている理由
執筆者:川原裕也 更新:
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最近は、中小企業・ベンチャー企業、そして個人事業主を中心に、ネット銀行をメインバンクに選ぶ方が増えています。特に若い経営者ほどネット銀行を使うことに抵抗がなく、積極的にビジネスにも導入しているようです。
そんな私も、ネット銀行をメインバンクに使っている経営者の一人です。
目次
ネット銀行法人口座がメインバンクに使える理由
なぜネット銀行をメインバンクにする経営者が増えているのか、その理由についてまとめます。
とにかく手数料が安い
インターネットバンキングによる振込など、ネット取引を中心に利用する場合、ネット銀行は非常に役立ちます。なぜなら、とにかく手数料が安いからです。
法人口座の場合、メガバンクや地方銀行ではネットバンキングの月額利用料がかかります。この金額は決して安くはなく、年間で約2万円が必要です。
複数の銀行口座を持つ場合、費用はより大きくかかります。例えば3つの銀行でインターネットバンキングを使う場合、年間約6万円の負担となるので、固定費としては大きいですよね。
しかし、ネット銀行の場合は口座開設・維持手数料は完全無料です。無料でネットバンキングを導入できます。
振込はもちろんですが、最近は税金の支払いもネットで行える「Pay-easy(ペイジー)」が使えるネット銀行も出てきており、以前ほどメガバンク・都市銀行の法人口座の必要性はなくなってきています。
もちろん、1件あたりの振込手数料やATM手数料も安いです。
ATM手数料はコンビニATMを中心に利用できるので24時間対応です。また、振込手数料はメガバンク・地方銀行よりも60%以上コストダウンできるケースもあります。
金額は小さいかもしれませんが、中小企業・ベンチャー企業・個人事業主にとって、ネット銀行は大きな経費削減に貢献してくれます。
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法人口座開設が行いやすい
近年、法人口座開設の審査難易度が上がってきているのをご存知でしょうか?
法人口座が不正に利用されることを防ぐため、申込書類の数や審査の厳しさは年々上がってきています。私が法人口座を開設した時よりも、提出書類の数は間違いなく増えています。
もちろん、銀行口座は会社を設立してから一番最初に用意しなければならないものなので、設立してすぐの会社でも法人口座は作れます。
しかし、審査が厳しく、そして書類の数が増えると、それだけ申込から口座開設完了までの日数がかかります。
一日でも早く事業をスタートさせたい中、口座開設だけで数週間~1ヶ月の時間を失ってしまうのは大きな機会損失です。
ネット銀行法人口座であれば、WEB申込と郵送の書類やりとりのみで口座開設ができるので、スピーディーに事業を開始することができます。
中でも、PayPay銀行の法人口座なら2週間程度で口座開設することが可能です。
PayPay銀行の法人口座は、実印や印鑑証明書の提出も不要となり、必要最小限の書類のみで申し込みができます。
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原則として24時間利用できる
これは、私が大きなメリットだと感じていることです。
法人口座の場合、メガバンク・地方銀行のシステムは接続できる時間が限られます。
例えば、平日の7時~20時までといった具合で制限がかかるので、平日の深夜や土曜・日曜はネットバンキングでの振込手続きはもちろん、残高確認なども行えません。
しかし、ネット銀行法人口座の場合は個人向け口座と同様に、原則として24時間いつでも振込や残高確認ができます。(15時を過ぎてからの振込手続きは翌日扱いになりますが)
会社経営をしていると、深夜に経営戦略を見なおしたり、新しいビジネスについて考えることもよくあります。
そういった時に、銀行の取引履歴・口座残高がいつでも確認できる状態にあることは、経営にとって大きなプラスになると思います。
ネット銀行法人口座のデメリット
では、逆にネット銀行法人口座のデメリット(弱み)があるのかと聞かれると、あります。続いて、私が実際に使っていて感じるデメリットをまとめます。
知名度が低い
最近でこそネット銀行の知名度も向上してきましたが、メガバンクなどと比較するとまだまだ知っている人は少ないです。
知名度の差は信用の差にも繋がります。
例えば、会社概要ページの取引先銀行欄に「三菱UFJ銀行」と書かれているのと「PayPay銀行」と書かれている場合では、やはり「三菱UFJ銀行」と書かれている会社の方が信頼できそうな感じはします。
もちろん、気にしない人も多いですが、気にする人も少なからずいるはずです。
電話番号で言うと「03・06」などの市外局番から始まっている電話番号、そして最近は増えてきた「050」のIP電話、または「090」の携帯電話番号などに分かれます。
取引相手の会社概要ページの代表電話が「090」だと、取引するのに少し不安になりますよね。。。
それと同じです。
ネット銀行の場合「050」ナンバーぐらいの信用度でしょうか。「03・06」などの市外局番と比べると信用は落ちますが、格安で導入でき、大手も活用していて、少しずつ広がっているのが「050」ナンバーの立ち位置です。
ちなみに、会社概要ページに「取引先銀行」の名前を書くことは義務付けられていませんので、あえてメインバンクの名前をホームページ上で公開する必要はありません。
また、ネット銀行の財務健全性はとても高いので、倒産の危険性を心配することもないでしょう。
ネット銀行は、メガバンクや地方銀行が手がけている、住宅ローンや中小企業への融資業務を積極的には行っていません。
つまり、預かり資産を安全な債券などで運用しているため、リスク資産の保有割合が少なく、結果として財務健全性が高くなっています。
銀行融資を受けにくい
私がネット銀行の最大のデメリットだと思うのが、銀行融資を受けにくいという事実です。
メガバンクは中小企業などは相手にしてくれませんが、地方銀行や信用金庫と取引をする最大の利点は、融資を受けやすいことにあると思います。
日常的な銀行取引だけを見れば、ネット銀行法人口座の利用メリットの方が大きいと思いますが、積極的に融資を受けて事業を拡大したい場合、どうしても地銀・信用金庫とのお付き合いが必要となります。
ただし、今後はネット銀行各社も中小企業向け融資に乗り出す方針ですので、いずれこの問題は解消されていく可能性があります。
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担当者が付かない
地方銀行・信用金庫などの場合、融資取引をする段階で担当者が付きます。担当者が付くと、ATMに行かなくても預金を預かってくれるなど、銀行の様々な取引を担当者経由で行えるようになります。
銀行の担当者と付き合うことでメリットもありますが、彼らは決して私たち経営者の味方ではありません。この点を勘違いすると痛い目にあってしまいます。
銀行の担当者はあくまでもビジネスパートナーですので、当然彼らの利益のために、様々な営業も受けることになりますし、担当が付くということは、会社の業績や決算も定期的にチェックされます。
逆に言うと、担当者と話したり、営業を受けたり、業績・決算書の内容を定期的に見られたりしたくない人にとっては、ネット銀行はとてもありがたい存在と言えます。
ネット銀行では基本的に1社ごとに担当者が付くことはなく、対面で話したり営業を受けることはありません。
経営者は大切な時間をすべて仕事に注ぐことができ、ストイックに事業を進められます。
担当者が付かないことはデメリットですが、人によってはメリットになりうるので、人それぞれです。
信用のある大手銀行と提携するケースも
最近は、ネット銀行法人口座をメインバンクとして利用する会社が増えています。しかし、ネット銀行にはメリットと合わせてデメリットもあります。
ネット銀行か地銀・信用金庫など、どちらの金融機関を使うべきなのかはビジネス内容によっても異なってくると思います。
もちろん、銀行口座は1つに絞る必要はないので、両者のメリットを上手く享受できるように、用途ごとに使い分けるのもおすすめです。
また、2018年には「GMOあおぞらネット銀行」という新しいネット銀行が誕生しました。
GMOあおぞらネット銀行は、IT大手のGMOインターネットグループと、普通銀行の「あおぞら銀行」の提携によって誕生しています。
ネット銀行業界トップクラスのスペックを兼ね備えた銀行で、私も早速法人口座の開設を行いました。
前身は「あおぞら信託銀行」だったこともあり、信用面での問題はありません。
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1件のコメント
4月より 個人事業主としてクレーンを使用して開業します
大変ためになりました
ありがとうございます