Apple Pay(アップルペイ)が使える法人カード・ビジネスカードを整理しました
執筆者:川原裕也 更新:
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クレジットカードをiPhoneに登録すると、Apple Pay(アップルペイ)が使えます(対応機種に限ります)。
Apple Payは、iPhoneに電子マネーの機能を搭載できるサービスで、対応機種であれば無料で利用可能です。
国内普及率の高い電子マネー「iD(アイディー)」または「QUICPay(クイックペイ)」対応のお店で使えます(電子マネーSuicaも登録できます)。
しかしながら、ビジネス専用の法人カードはApple Payに対応していないことが多く、キャッシュレス・カードレスでスムーズな支払いができません。
今回は、Apple Payに登録できる数少ないビジネスカードを整理します。
法人カードのなかには、個人事業主でも持てるカードも多いので、個人で自営業を営んでいる方もご覧ください。
目次
楽天ビジネスカード
楽天ビジネスカードの特徴は…?
- 1%の高ポイント還元率
- ビジネスカードはVisaブランドのみ
- 個人事業主も発行可能
楽天ビジネスカードは、やや特殊な法人カードです。
個人向けの「楽天プレミアムカード」の追加カードとして発行できるクレジットカードなので、楽天ビジネスカード単体では発行できません。
個人事業主も発行可能となっていますが、楽天ビジネスカードの引き落とし口座は「屋号名口座」になります。
法人代表者は、プライベートな利用では「楽天プレミアムカード」を、ビジネスでの利用では「楽天ビジネスカード」を使い分けることができます。
どちらのカードもApple Payに登録できます。全国のQUICPay加盟店で、電子マネーによる支払いが可能です。
楽天ビジネスカードは、法人カードのなかでは極めて珍しい「ポイント高還元カード」です。利用額の1%の楽天ポイントが貯まります。
もちろん、プライベート用の「楽天プレミアムカード」では、楽天グループでの決済でさらにポイントがアップします。
年会費は、楽天プレミアムカードが11,000円(税込)、楽天ビジネスカードが2,200円(税込)となっています。2枚のカードを持つ必要があるため、合計年会費は13,200円(税込)です。
ポイント還元率を1%として計算した場合、年間120万円以上の支払いをする法人代表者であれば、年会費以上の元が取れます。
デメリットは「従業員カードが発行できないこと」です。
楽天ビジネスカードはあくまでも、プライベート用の「楽天プレミアムカード」の追加カードとして発行できる、経営者のためのクレジットカードです。
2021年6月より、公共料金等の一部の利用先について、ポイント還元率が下がりました。
下記のような利用においては、500円につき1ポイント(還元率0.2%)であるため、注意が必要です。
- 電気代
- ガス代
- 水道代
- 税金
- 国民年金保険料
- Yahoo!公金支払い
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カードの特徴は…?
- 追加カードもApple Payに登録可
- 多くの経営者に支持されるアメックスブランド
- 個人事業主でも申込みできる
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードは、経営者のなかでは定番と言われるほど支持されているクレジットカードです。
アメックスカードは富裕層や会社経営者の保有率が高いことから、多くのエグゼクティブ、医師、歯科医、士業を営む方々に評価されています。
私自身も、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カードを使っていますが、サポートデスクの対応が、ほかの法人カードとは比べ物にならないくらい良いです。また、電話サポートの待ち時間も短くて済みます。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カードは、従業員向けの追加カードにもApple Payが登録できます。
一度、Apple Payに登録しておけば、iPhoneだけで全国のQUICPay加盟店で電子マネー決済が使えるようになります。
ただし、アメックスカードは年会費が高いのがネックです。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードの年会費は36,300円(追加カード1枚あたり13,200円)です(いずれも税込)。
ゴールドカードではない一般カード(通称:グリーンカード)でも、13,200円(追加カード1枚あたり6,600円)の年会費がかかります(いずれも税込)。
ただし、私自身が実際に使ってみて感じるのは「対応の良さを考慮すると、高額な年会費は納得できる」ということです。
以前、楽天カードとアメックスカードの両方で不正利用が発覚し、サポートに電話をしたことがあります。
楽天カードのサポートは、電話がつながるまでに長時間待たされた挙げ句、不正利用された利用先に「自分で電話をかけてくれ」と言われ、それが本当に不正なのか自分自身で確認を取る必要がありました。
一方、アメックスのサポートは、「ご心配をおかけし申し訳ございません。すぐに代替カードをお送りします。その後の調査は弊社で行い、調査完了次第返金します。お客様は何もなさらなくて結構です。」と素早い対応でした。
どうしても、「年会費」というコスト面に目が向きがちですが、こうしたサービスの差が、大衆向けの楽天カードと、年会費を高く設定することで顧客層を絞っているアメックスの差なのだと、痛感したできごとでした。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カードは個人事業主でも申込み可能です。
ステータスの高いビジネスカードを希望する方はゴールドカード、年会費を抑えて使いたい方は一般カード(グリーンカード)の選択をおすすめします。
なお、ビジネスクレジットカードの年会費は経費で落とせますので、会費が高額になっても、直接の費用負担はありません。
三井住友ビジネスカード for Owners
三井住友ビジネスカード for Ownersの特徴は…?
- 経営者向けのビジネスカード
- リーズナブルな年会費で使いやすい
- 個人事業主でも申込みできる
三井住友ビジネスカードには、大きく2つの種類があります。
1つは通常の「ビジネスカード」で、こちらは代表者に加えて従業員にも配布できる法人カードです(Apple Payには対応していません)。
そしてもう1つが、おもに経営者だけが持つ「三井住友ビジネスカード for Owners」です。「for Owners」はApple Payに対応しており、全国のiD加盟店で電子マネー決済が使えます。
追加カードも発行できますが、「パートナー会員」という扱いなので、従業員向けに発行するものではなく、ご家族などに持たせるためものとなっています。
引き落とし口座は「個人用口座・法人口座(屋号名口座)」から自由に選択できるのが特徴です。
年会費は1,375円(税込)(パートナーカード1枚あたり440円・税込)なので、事業を始めたばかりの個人事業主・法人経営者でも持ちやすいと思います。
それほど目立ったビジネスカードではありませんが、年会費も低めで扱いやすいので、個人的にもおすすめできる一枚です。
なお、三井住友ビジネスカード for Ownersには、より高グレードの「ゴールドカード」「プラチナカード」も用意されています。
マネーフォワードビジネスVISAカード
マネーフォワードビジネスVISAカードの特徴は…?
- 条件付きで年会費無料
- 法人口座・個人口座・屋号名口座から引き落とし可
- リーズナブルな年会費
マネーフォワードビジネスVISAカードは、クラウド会計ソフト「マネーフォワードクラウド」の公式クレジットカードです。
年会費初年度無料、2年目以降も「前年に年間50万円以上のお買物利用」があれば無料で使えます。
ビジネスの経費を支払うためのクレジットカードですから、年間50万円の利用は決して高いハードルではなく、実質的にはずっと無料で使い続けられる方がほとんどだと思います。
引き落とし口座は、法人口座・個人口座・屋号名口座から選択できます。もちろん、個人事業主でも申込み可能です。
マネーフォワードビジネスVISAカードは、発行しているカード会社が「三井住友カード」なので、三井住友ビジネスカード for Ownersにスペックが似ています。
Apple Payへの登録ができ、全国のiD加盟店で利用可能です。
従業員向けカードも1枚440円(税込)で発行できますが、こちらは「パートナー会員」扱いですので、発行可能枚数は限定されていると思われます。
マネーフォワードビジネスVISAカードは発行が三井住友カードなので、年会費など基本的なスペックは三井住友ビジネスカード for Ownersに似ているところが多いです。
福利厚生代行やビジネスサポートなども三井住友ビジネスカード for Ownersと同等のサービスが付帯します。
あえて違いをあげれば、追加可能カードの違いと、申込み年齢がマネーフォワードビジネスVISAカードは満20歳以上、三井住友ビジネスカード for Ownersは満18歳以上となっているところです。
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マネーフォワードビジネスVISAカードを評価する、総額15万円以上の特典の使い方
ラグジュアリーカード
ラグジュアリーカードの特徴は…?
- 追加カードもApple Payに登録可
- 年会費は5.5万円~22万円、最強の高級カード
- 個人事業主でも申込みできる
超高級志向で一部の利用者層から絶大な支持を受けているラグジュアリーカード。
同じく高級路線のアメリカン・エキスプレス・カードに対抗し、サービス・特典の充実と、カード券面の質で勝負しています。
ラグジュアリーカードには3つのグレードがあります。
- 最上級:ゴールドカード
- 年会費22万円。券面に24金コーティングを施した高級カード。
- ブラックカード
- 年会費11万円。主張しすぎない、落ち着きのあるマット加工が印象的。
- チタンカード
- 年会費5.5万円。金属製カードを美しく見せるブラッシュド加工を採用。
※年会費は税込です。
いずれのカードも直接申し込みができ、24時間365日対応の秘書サービス(コンシェルジュサービス)がついています。
従業員向けの追加カードにもApple Payは登録できますが、ラグジュアリーカードは「最大4枚まで」しか追加カードが発行できません(代表者を含めて最大5枚)。
よって、社員数の多い会社では、「幹部のみが利用する」という使い方になると思います。
年会費は高いのですが、ポイント還元率が高かったり、ラグジュアリーカードならではのVIP特典が豊富に提供されているなど、経営者を満足させる質の高いビジネスカードです。
事実、ラグジュアリーカードを高く評価している経営者も多く、お金に余裕のある人にとっては最適なビジネスカードになりうると思います。
なお、ビジネス向けのラグジュアリーカードも、個人事業主の申し込みが可能です。
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三井住友ビジネスカードとJCB法人カードは非対応
法人カードで利用率の高い、
- 三井住友ビジネスカード
- JCB法人カード
は、残念ながらApple Payは使えません。
法人カードでは、意外とApple Payに対応していないクレジットカードが多いです。
「三井住友ビジネスカード」については、前述の通り「for Owners」シリーズであれば、Apple Payに登録可能です(for Ownersはおもに経営者向けのビジネスカード)。
「JCB法人カード」については、一部カードは対応していると公式回答を得ています。
以下のカードはApple Payに対応しています。
- カード券面に「Corporate」と書いてあるカード
- カード表面または裏面のカード番号が「354」からはじまるもの
Apple Pay対応の最強カードはこれだ
それぞれのカードに一長一短があるため、最終的にはそれぞれの利用用途に適したビジネスカードを選択するのが一番だと思います。
今回取り上げた「Apple Pay対応のビジネスカード」のなかで、もっとも良いと思うのは「楽天ビジネスカード」です。
従業員向けのクレジットカードは発行できませんが、ポイント還元率が1%と極めて高いので、年間120万円以上の利用がある法人・個人事業主であれば、ポイント還元による恩恵を大きく受けることができます。
楽天カードは「券面がダサい」との意見も多いのですが、Apple Payであればカードを店員に渡さなくても支払いが行えるので安心です(画面内に楽天ビジネスカードの画像は表示されますが)。
ただし、楽天ビジネスカードは、楽天プレミアムカードの付随カードです。楽天ビジネスカードのみを申し込むことはできません。
アメリカン・エキスプレス・ビジネス・カードは、年会費こそ高めの設定ですが、サポート対応、従業員向けカードの発行など、使い勝手はもっとも良いと思います。
本文でも触れましたが、カード決済でトラブルが生じた場合の対応や、サポートの電話の繋がりやすさにおいてストレスがありません。
資金的に余裕があって、本業としている仕事に集中したい方におすすめできるカードです。アメックスは経営者からの支持が厚いのも大きなポイントです。
起業前まもない経営者で、とにかくコストを抑えたい場合は、マネーフォワードビジネスVISAカードがおすすめです。
2年目以降は条件付きとなりますが、年間50万円以上の利用でずっと無料で使い続けることができます。Apple Payに登録でき、年会費無料で使えるビジネスカードとして、貴重な存在です。
- 楽天ビジネスカード
- ポイント還元率が高い。従業員用のビジネスカードは発行できない。
- アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード
- ハイステータス。従業員向け追加カードも発行できる。年会費の低い一般カード(グリーンカード)も選択可能。
- マネーフォワードビジネスVISAカード
- 条件を満たせば年会費はずっと無料。登記簿謄本・決算書不要で簡単申し込み。
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