法人口座のネットバンキングの月額利用料が高すぎる理由
執筆者:川原裕也 更新:
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ネットバンキングの普及によってビジネスのスピードは大きく加速しました。
昔は振込手続きをするために銀行窓口に行く必要があったり、15時を過ぎると翌日扱いになるのが普通でした。
しかし近年では自宅や事務所からネットで送金、場合によっては15時を過ぎていてもリアルタイムで24時間振込ができることもあります。
法人口座を作ったらネットバンキングを導入する会社・個人事業主も多いと思いますが、銀行の法人向けサービスはとにかく高いです。
個人向けの口座なら無料で提供されているインターネットバンキングも、法人口座になった途端、月額利用料がかかります。
目次
ネットバンキングの月額利用料はどれくらいかかる?
参考までに、ビジネス口座のインターネットバンキングに契約すると、どれくらいの月額利用料がかかるのかまとめます。
銀行名 | サービス名 | 月額料金(税込) |
---|---|---|
三菱UFJ銀行 | BizSTATION | 1,760円 |
三井住友銀行 | パソコンバンクWeb21(デビュー) | 2,200円 |
みずほ銀行 | みずほビジネスWEB | 3,300円 |
りそな銀行 | りそなビジネスダイレクト(Mini) | 3,300円 |
横浜銀行 | ビジネスサポートダイレクト | 2,200円 |
千葉銀行 | ちばぎんインターネットEBサービス(Web-EB) | 2,200円 |
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銀行によって違いはありますが、月額利用料だけで年間2万円以上の負担となります。仮に3つの銀行でネットバンキングを導入すれば、年間6万円以上の経費です。
これは小規模法人にとっては無視できない金額です。
銀行の法人向けインターネットバンキングに年間6万円を拠出するのなら、6人の社員に1万円ずつ特別ボーナスを出した方が、会社の将来にとっても良いお金の使いみちだと思いませんか。
しかし、ネット銀行ならこの費用は無料です。
- PayPay銀行
- 楽天銀行
- GMOあおぞらネット銀行
- 住信SBIネット銀行
これらの銀行はいずれも、口座管理手数料0円で、ネットバンキングの機能が使えます。
法人口座ならではの一括振込などにも対応しているため、小規模法人や社員50人以下の中小企業の利用であれば、利用に不満は感じないと思います。
ネット銀行のビジネス口座ならインターネットバンキングの利用に月額手数料はかかりません。
ネット専業銀行の法人口座が持つ3つのメリットは、のちほどくわしく解説します。
銀行の月額利用料が高すぎる理由
なぜ、ネット銀行が無料で提供している法人向けネットバンキングサービスを、都市銀行や地方銀行は有料にしているのでしょうか。
銀行のネットバンキング月額利用料が高すぎる理由は3つあります。
セキュリティが無駄に高い
都市銀行や地方銀行が導入している法人向けインターネットバンキングは、電子証明書をはじめ、セキュリティがかなり高く作られています。
言い換えると、社員数人程度の中小企業・小規模法人からすると無駄にセキュリティが高いシステムを使うことになるのです。
ログイン・取引をするまでに何重ものパスワードが必要だったり、承認手続きが必要だったり。
また、社員数千人規模の大企業しか使わないようなサービスも数多く組み込まれています。
たとえば私も地方銀行のネットバンキングを利用しているのですが、取引パスワードを数回間違えただけでロックがかかってしまった経験があります。
こうしたトラブルはよくあることなのですが、ロックを解除するのに「電話 → 郵送でロック解除の書類を送付 → 記入して返送 → しばらくしてロック解除」という手順があり、一度ロックがかかってから解除までに約1ヶ月を要しました。。。
無駄に高いセキュリティ、無駄に多い機能、これらがネットバンキングの月額手数料が高すぎる理由の一つです。
人件費がかかる
都市銀行や地方銀行には数多くの窓口が存在します。いざというときに相談窓口があるのはメリットです。
しかし、窓口に立つ従業員が多いということは、それだけ人件費がかかります。
仮にネットバンキングでの取引がさらに普及し、銀行の窓口に出向く人が減ったとしても、店舗を維持するために一定の従業員は必要なので、銀行にとって人件費はなかなか減らせないのです。
しかし、ネット専業銀行には最初から店舗がないため、システムが構築できていればどれだけ取引が増えても、基本的にはサーバーの増強だけで対応できます。
何よりも、取引数が増えるのに比例して人件費が増えないので、低コストで運用できるぶん、ネットバンキングの月額利用料を無料にするなど、顧客の負担を軽減できるのです。
支店が数多く存在する
都市銀行や地方銀行には数多くの支店があります。
そして、法人向けネットバンキングもそれぞれの支店と結び付けられています。
それぞれの支店ごとにシステムが独立しているわけではないと思いますが、支店が多いほど管理コストも少なからず増えていることは間違いありません。
また、窓口店舗を設けるということは、それだけ土地や建物の維持費(または賃料)がかかります。こういった部分で発生するコストも、インターネット取引を行う利用者の負担になっています。
しかし、ネット銀行には基本的に1つか2つの支店しかありません。支店といっても窓口となる店舗があるわけではないので、大きくコストを下げて経営ができます。
もちろん、窓口で相談できなくても電話やメールのサポートがあるので安心です。
ネット銀行が持つ3つのメリット
ネット銀行法人口座が、都市銀行・地方銀行の法人向けインターネットバンキングより優れている点は3つあります。
ネットバンキングの月額使用料が無料であることは大きいですが、ほかにも大きなメリットが多数あり、コスト削減、業務効率化に繋げることができます。
最近は、小規模事業者やベンチャー企業を中心にネット銀行をメインバンクにしている会社も増えてきています。
もちろん、私の会社もネット銀行を中心に活用することで、無駄なコストを下げた経営を実行しています。
月額手数料が無料
すでにお話をしたとおり、ネット銀行なら月額利用料0円でインターネットバンキングが使えます。
だからといって、使える機能が少なかったり、セキュリティが甘いといったことはありません。
たとえば、最大で数千件に同時振込ができる総合振込サービスや、管理者ごとに権限を設定して1つの口座を複数人で管理できる機能が使えます。
逆に支社ごとに複数の口座を持ち、一人で管理できる機能なども提供しています。
セキュリティについても、ワンタイムパスワードやスマート認証といった先進的なセキュリティを導入しています。
事実、最近ではほとんどの銀行でワンタイムパスワードが導入されましたが、この仕組みをいち早く導入したのは、PayPay銀行です。
ネット専業だからこそ、インターネット取引のセキュリティには最大限の注意を払って対応しているということです。
もっとも、常に振込限度額を低く設定しておき、取引ごとにメールでお知らせが届くようにしておけば、不正送金があってもすぐに気づくことができ、必要最小限の被害で済みます。
これだけで年間数万円のコストが削減できることを考えれば悪くありません。
実際、不正送金被害の件数はネット銀行よりも都市銀行・地方銀行の方が多い傾向にあります。こうした銀行は利用者数が多い分、不正送金のターゲットにされやすいのです。
中小企業にとって、メガバンクや地方銀行が提供するような大規模なネットバンキングのシステムが本当に必要なのか、もう一度考えてみる必要があります。
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原則として24時間利用可能
都市銀行・地方銀行のネットバンキングは、月額利用料がかかるだけでなく、利用時間が限られているケースも多いです。
たとえば、りそなビジネスダイレクトの利用時間は「平日7:00~23:55 土日祝:8:00~22:00」となっており、深夜の時間帯はログインできません。
深夜に振込や残高確認をすることが一切ないのであれば問題ありませんが、深夜に経営戦略を考える社長さんも多いと思います(私も深夜に考え事をしながら銀行の取引明細を見ることが多いです)。
ネット銀行であれば、他行あて振込が翌日扱いになることはありますが、ログインをして振込予約をしたり、取引明細を確認することは原則として24時間可能です。
ログインしようと思ったらメンテナンス中だった。というのはストレスですよね。しかし、ネット銀行ならそういったことはなく、いつでも快適にログインできるので安心です。
振込手数料が安い
ネット銀行は月額利用料が無料というだけでなく、振込手数料も非常に安いです。
特に他行あて振込手数料は都市銀行・地方銀行の3分の1くらいまでコストダウンできることもあります。
法人や個人事業になると取引回数が増えるため、年換算すると振込手数料は大きな負担になっていると思います。
今度お時間のあるときに、1年でどれくらい振込手数料を使っているか計算してみてください。
そのお金で社内の環境をよくするだけでも、社員さんへの大きな還元となり、従業員のモチベーションを向上できます。
ネット銀行であれば振込手数料は約60%も削減できるので、大きなコスト効率化に繋がります。
たとえば住信SBIネット銀行では、振込回数が増えれば増えるほど他行宛振込手数料が割引になります。
「微差は大差」という言葉がありますが、こうした小さな積み重ねが他社との競争力の差になっていくのだと思います。
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