売掛金と未収金(未収入金)の違い・使い分けをわかりやすく解説します

※記事内に広告を含む場合があります

売掛金・未収金 違いは?

売掛金と未収金(未収入金)は、どちらも掛取引によって発生する勘定科目です。

通常、一般消費者を顧客とする小売業などでは、現金払いが中心です。

一方、事業者同士の取引においては、契約や商品の受け渡しと、現金の支払いのタイミングにズレが生じます。(請求書払いなどがその代表例です)

ですので、契約や商品の受け渡しが完了した時点で、損益計算書へ売上等への計上する一方、貸借対照表には「売掛金」や「未収金」を計上し、まだ現金が入金されていない(近い将来、売掛金や未収金が現金に化ける)ことを示しておきます。

売掛金と未収金はどちらも「資産の部」に計上する勘定科目です。

この記事では、こうした掛取引によって生じる「売掛金」と「未収金(未収入金)」の違い、使い分けについてわかりやすく解説します。

※ちなみに、「未収金」と「未収入金」は同じ意味です。

本業で生じた取引には売掛金を使う

先に結論を述べておくと、両者の使い分けは「本業(主たる事業活動による取引)から生じたかどうか」で判断します。

「本業」の定義があいまいでわかりにくいかもしれませんが、通常の取引であれば基本的に「売掛金」で問題ありません。

むしろ、後述する「本業以外の取引で生じた未収金」の定義を明確にしておき、それ以外の取引はすべて売掛金で処理すると考えた方が良いかもしれません。

なお、売掛金は「資産の部」の中の「流動資産」として扱います

売掛金の仕訳例

雑貨販売を中心としたネット通販会社を経営している場合。1万円の商品が売れた(注文が入った)段階で、売上を計上します。

商品が売れた(注文が入った)段階では、顧客からの現金回収はまだ行われていないので「資産の部(借方)」に「売掛金」を計上します。

①売掛金の計上

借方 貸方
売掛金 10,000 売上高 10,000

5日後、顧客から銀行振込によって1万円の入金が確認できました。

現金回収が完了したため、売掛金(将来得られる予定の現金)は、現金に姿を変えます。下記の仕訳では、先程積み上げた1万円の売掛金を減額し、現金(普通預金)1万円が増えたことを表します。

②売掛金の回収

借方 貸方
普通預金 10,000 売掛金 10,000

本業以外で生じた取引には未収金を使う

本業以外で生じた取引では、未収金(未収入金)を使います。

わかりやすく言うと、普段は生じることのない特殊な取引について「未収金」を使うということです。

例えば、保有している設備(工場、機械、不動産や土地など)や有価証券を売却した場合などが「普段は生じない特殊な取引」に該当します

こうした特殊な取引で、「契約や設備等の引き渡し時期」と、「現金の入金日」にタイムラグがある場合、契約・引き渡し等が終わった段階で一度「未収金」勘定に計上し、実際に現金が入金されてから「現金(預金)」に振り返るという処理をします。

上記の説明では、不動産や土地などの取引は未収金で計上すると言いましたが、本業が不動産事業者である場合は、不動産や土地の売買が本業になるわけですから、これらの取引には売掛金を使います。

なお、売掛金は原則として流動資産に計上しますが、未収金については、現金の回収予定期間が1年以内なら「流動資産」、1年超なら「固定資産」に計上します。

未収金の仕訳例

工務店を経営している場合。老朽化した自社利用の設備を50万円で買取業者に売却した場合、売買契約を行った段階で、固定資産売却益(営業外収益)を計上します。

※売却した資産が設備などの場合は「固定資産売却損益」、有価証券なら「有価証券売却損益」、それ以外の取引であれば原則「雑収入(または雑損失)」を使います。

売買契約を締結した段階では、買取業者からの現金入金はまだ行われていないので「資産の部(借方)」に「未収金」を計上します。(自社が使う設備の売買はこの工務店の本業ではないため)

買取業者からの入金は3ヶ月後を予定しているため、この未収金は「流動資産」に計上します。(仮に、入金が1年超となる場合は、未収金は固定資産として計上)

①未収金の計上

借方 貸方
未収金 500,000 固定資産売却益 500,000

3ヶ月後、業者から銀行振込によって50万円の入金が確認できました。

現金回収が完了したため、未収金(将来得られる予定の現金)は、現金に姿を変えます。下記の仕訳では、先程積み上げた50万円の未収金を減額し、現金(普通預金)50万円が増えたことを表します。

②未収金の回収

借方 貸方
普通預金 500,000 未収金 500,000

基本的には売掛金だけを使っておけば問題なし

売掛金と未収金の使い分けに悩む人は多いと思います。

しかし、本記事での解説の通り、未収金を使うのは「普段は行わない特殊な取引」をした場合に限ります

ですので、基本的にはすべて売掛金で処理しておいて問題はありません。

私自身も「未収金」を計上するのは1年に1度あるかないか。といった程度です。

覚えておくべきポイントとしては、

  • 基本的にはすべて売掛金で計上する
  • 特殊な取引に関してのみ未収金で計上する

ということです。

次の記事:Amazon Businessのメリット、個人事業主・法人向けのアマゾンは何が違う?

関連リンク

この記事の執筆者

執筆者の詳細プロフィール
26歳の時に右も左もわからない状態で個人事業主になりました。2年後、株式会社クートンを設立し、現在10期目です。「いい人」がたくさんいる世界の実現が目標です。「人の価値とはその人が得たものではなく、その人が与えたもので測られる」 - アインシュタイン 姉妹サイト「1億人の投資術」でも記事を書いています。

より良い情報をお届けするため、 がメンテナンスを担当いたしました。( 更新)

ありがとうございます。

「カメでもわかる経営」の記事をもっと読む

最後まで読んでいただきありがとうございました

0件のコメント

質問・コメントはこちら

個人事業主・フリーランス アンケート
ビジネスカード大全集
小さな個人店 キャッシュレス導入のメリット・デメリット

ビジネスに役立つ記事を配信中