個人事業主や法人では税理士は必要か?経理や決算処理はどうすべき?

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税理士

自分で事業を行うようになると、税金や確定申告・決算に対する内容が気になります。

従業員として働いていた時は、毎月の給与の総支給から「随分たくさんの税金が引かれるなぁ」という程度の認識で、具体的にどういった税金が存在し、その税率がどの程度なのかといったことも気にしていませんでした。

しかし、経営をはじめると毎年の確定申告や決算申告が義務付けられますし、「これは経費で落とせるのか?」といった税務会計の疑問も数多く出てきます。

そこではじめて「税理士」という税務のプロに頼るという選択肢が出てきます。

今回は、個人事業主や小規模法人において税理士との契約は必要か考えてみたいと思います。

個人事業主や法人で税理士は必要か

税金

最初に私なりの結論を述べてしまうと、「個人事業主なら税理士は不要」「法人化するなら税理士は必要」だと思っています。

というのも、私自身がそうだったからです。
私は最初に個人事業主を2年間経験し、その後法人成りという形で会社を立ち上げました。

個人事業主の時は税理士を付けておらず、日々の経理や決算(確定申告)を含めてすべて自分自身でやっていました。

一方で、法人成りをした1期目に税理士と顧問契約を結び、現在は税務に関する専門的な仕事は、税理士さんにお任せしています。

自営業として生きる」のインタビューでも、多くの個人事業主の方が「税理士とは契約を結んでいない」と回答しています

個人事業主の確定申告は簡単

個人事業主の確定申告

正直に言うと、個人事業主の経理や決算に相当する「確定申告」は難しくありません。

日々の経理は「やよいの青色申告」や「会計ソフトのfreee」などを購入して、見よう見まねでつければなんとなく完成します。

また、国税庁が提供している確定申告書等作成コーナーのサイトで数字を入力するだけで、簡単に確定申告書を作れます。

わからないことがあれば、最寄りの税務署に問い合わせると、丁寧に答えてくれるので安心です。(税務署の人は腰が低く優しい方ばかりです)

私の場合、事業が少し落ち着いてから日商簿記検定の3級を取得しました。すると、個人事業主の経理の方法がクリアに理解できるようになりました。

日商簿記検定3級は簡単に取れるので自営業をやるならおすすめの資格です。(日商簿記検定2級まで取ると法人の会計もある程度こなせるようになります)

これだけでなんとなくやれてしまうので、私はあえて税理士と顧問契約を結ぶ必要性を感じませんでした。

また、何のために正しい経理や確定申告をするのか?という原点に立ち返って考えると、合理的な答えは「税務調査が来た時に対応するためである」と言えます。

しかし、よほど利益が出ている自営業でなければ、個人事業主レベルでは税務調査が入ることはほとんどないというのが現実です。

であれば、多少間違っている経理や確定申告であっても特に問題にはなりません。

実際、私も個人事業主の1期目は経理に関する知識がまったくなくて、数年経ってから見直してみると情けなくなるぐらい間違いがありました。

もちろん、「正しい申告をすることが倫理的に大切」というのは理解しているつもりです。

しかし、自分の事業が廃業に追い込まれてしまったらどうでしょうか。場合によっては債権者に迷惑をかけたり、自分の一生を台無しにしてしまうかもしれないリスクを背負って、事業をやっているのも事実です。

そのような中で、税理士への顧問料が経営の負担になるのであれば、経理や確定申告が多少間違っていても、生き残るために少しでも経費削減して利益を出す方が優先だと私は考えます。

もちろん、経理や確定申告の業務を税理士に丸投げすることによって、利益の出る業務に集中できるなど、時間的・経済的なメリットが出せるのであれば、個人事業主でも税理士を雇った方が良いと思います。

この点は個々の判断になると思います。

会計ソフトの進化で経理業務が簡単に

マネーフォワードクラウド会計

現在、私の会社でも導入している「マネーフォワードクラウド会計」というソフトがあります。(個人事業主向けは「マネーフォワードクラウド確定申告」という名称)

会計ソフトfreeeなども同じなのですが、これらは銀行のインターネットバンキングやクレジットカードのWEB明細と連携させることで、それらの明細を自動的に帳簿に取り込んでくれる機能を有している、次世代の会計ソフトです。

経理や会計の知識がなくても、日々の帳簿付けを半自動でこなせるようになるので、個人事業主や小規模企業を中心に利用が広がっています。

仕訳の方法などは一度設定すると学習してくれて、次回からは自動的に正しい仕訳を行ってくれるので、業務効率も飛躍的に上がります。

社員が多い、領収書の枚数が多い事業だと経理業務もアウトソーシングした方がよいかもしれませんが、個人事業レベルであればこうした新しい会計ソフトを導入するだけで、経営者が自ら経理を行うことができます。

私も未だに日々の経理を自分でやっていますが、マネーフォワードクラウド会計の導入によって、経理業務にはほとんど時間をかけていません。

法人になると決算処理がかなり複雑になる

書類の山

しかし、法人になると途端に会計が難しくなります。

経理は基本的に同じですが、決算書の作成や決算申告が一気に難しくなるので、私も法人1期目から顧問税理士さんにお願いするようになりました。

もちろん、個人会社で経営者の方が決算書の作成や申告まですべて一人で行っているケースもあります。しかし、私の場合は時間対効果を考えた結果、税理士にお願いした方がよいという結論に至りました。

また、法人になると使える経費の幅も増えるので「この費用は経費として計上できるのか?」といった疑問も増えます。

こうした疑問はネットで調べて自分で解決することもできなくはないのですが、顧問税理士がいるとすぐに質問して回答が得られるので楽です。

法人が税理士と顧問契約を結ぶもう一つのメリットは、個人事業主の時よりも税務調査に入られる確率が上がるからです。

私自身、税務調査は何度も経験していますが、法人化して扱う金額が大きくなると税務調査で指摘を受けた時のダメージも大きいです。

そこで、日常の経理や決算をより正しくし、また税務調査の時は立ち会って自社の主張をしっかりと述べてくれる税理士の存在が必要不可欠になってくるのです。

経営者としては知らない人はいないほど有名なホリエモンこと堀江貴文さんも、自身のメールマガジンでこのように言っていました。

税理士くらいでしょう。税理士だけは最初に顧問契約を結ぶべきです。そうすると彼のネットワークで弁護士とかともつながりができます。

税理士と契約するとネットワークが広がる

パートナー

堀江貴文さんのこの発言は的を射ていて、私も同じように感じているところです。

私は、経営者との交流を持つために異業種交流会に行ったり、飲みに行くことをほとんど行いません。なので、経営者同士の人脈というのはかなり薄いです。

しかし、顧問税理士と契約を結んだことで、法律に関する相談があれば弁護士を紹介してもらえるなど、自然とネットワークが広がりました。

人脈を広く持っていなければ、優秀な弁護士を見つけることも容易ではありません。

しかし、幅広いネットワークを持つ「税理士」という存在を味方にするだけで、そこがハブとなり、必要に応じて優秀なプロフェッショナルを紹介してくれるようになります。

税理士という職業は事業を営むあらゆる人に求められますから、やはり税理士さんが持つネットワークは広いです。

資金調達時の経済的なメリットが活かせる

経済的メリット

その他にも、申請書類などで「税理士のはんこが必要不可欠」となるケースが少なからずあります。こうした時も、税理士と顧問契約を結んでおくとメリットがあります。

また、私が税理士と顧問契約を結んでいて良かったと強く感じたのは、資金調達を実施した時です。

銀行の紹介をしてくれるといったメリットもありますが、日本政策金融公庫の制度融資の中には「税理士のアドバイスがあると借入利率が有利になる」ものがあります。

税理士が面倒を見ているということで、借入利率を通常よりも下げた「優遇レート」で資金調達が行えます。

その他にも、どこまで信ぴょう性があるのかはわかりませんが、日本政策金融公庫の融資で税理士の存在は特に力を発揮するようです。

  • 借入利率の引き下げ
  • 融資の審査通過率が向上(するという噂)
  • 融資までの時間が短縮される(という噂)

以上の理由から、「個人事業主は税理士は不要」、「法人は税理士必須」であると私は考えています。参考になれば幸いです。

次の記事は、「個人事業主でもGoogle Workspaceの契約は可能?個人で使うメリット・デメリット」です。

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この記事の執筆者

執筆者の詳細プロフィール
26歳の時に右も左もわからない状態で個人事業主になりました。2年後、株式会社クートンを設立し、現在10期目です。「いい人」がたくさんいる世界の実現が目標です。「人の価値とはその人が得たものではなく、その人が与えたもので測られる」 - アインシュタイン 姉妹サイト「1億人の投資術」でも記事を書いています。

より良い情報をお届けするため、川原裕也 がメンテナンスを担当いたしました。( 更新)

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