マネーフォワードクラウド会計の9つのメリット、実際に使ってみた感想
執筆者:川原裕也 更新:
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会計ソフトの帳簿データを自社のパソコンに保存していませんか?
これまでは、帳簿データを自社または税理士さんのPCに保存するのが当たり前でした。
しかし近年はデータをクラウド上(インターネット上)に保存して管理し、どこからでも安全にアクセスできる仕組みが一般的です。
会計ソフトも同様にクラウド化の流れが進んでおり、帳簿データをクラウド上で管理できる「マネーフォワードクラウド会計」のようなソフトも登場しています。
私の経営する会社でも、マネーフォワードクラウド会計を使うことで仕訳にかかる時間を大幅に短縮できました。
目次
会計ソフトがクラウド化の流れ
中小企業や個人事業主にとって、クラウド会計への移行は大きなメリットに繋がります。
会計ソフトといえば、弥生会計、ソリマチなどが有名ですが、こうした企業もクラウドサービス・自動仕訳の製品をリリースし始めています。
そして、クラウドサービス・自動仕訳におけるパイオニアと言えるのが「マネーフォワードクラウド会計(マネーフォワードクラウド確定申告)」と「freee(フリー)」という2つのサービスです。
マネーフォワードクラウド会計とfreeeは比較されることが多いのですが、個人事業主であれば「マネーフォワードクラウド確定申告かfreee」を、法人であれば「マネーフォワードクラウド会計」が良いのではないかと思います。
私が導入したのはマネーフォワードクラウド会計なので、今回はマネーフォワードクラウドのメリットを元に、クラウド会計ソフトの魅力を紹介します。
マネーフォワードクラウド会計が持つ9つのメリット
マネーフォワードクラウド会計は、マネーフォワードという個人向け家計簿アプリを開発している会社が運営しています。
個人向けがマネーフォワードME、業務用がマネーフォワードクラウドシリーズという位置づけです。
自動仕訳で帳簿付けが半自動化できる
マネーフォワードクラウド会計を使う最大のメリットは、帳簿付けを半自動化できる「自動仕訳」機能です。
私自身もこの機能によって日々の帳簿付けにかかる時間を大きく短縮できましたし、マネーフォワードクラウド会計を導入している多くの企業が、時間短縮を実現できたとコメントしています。
自動仕訳とは具体的にどういうものなのか、簡単に説明します。自動仕訳には大きく分けて2つの機能があります。
1分で理解する「自動仕訳機能」とは?
1.データの自動取り込み
ネットバンキングやクレジットカードのオンライン明細などを連携することで、これまで手動で入力していた銀行の取引明細、クレジットカードの利用明細をすべて帳簿に自動取り込みします。
私たちが行うのは「勘定科目が正しいか?(新聞図書費でOK?消耗品費でOK?)」を判断するだけです。マネーフォワードクラウド会計は勘定科目も自動で提案してくれます。
もちろん、自動的に取り込んだ仕訳のうち、帳簿に登録するものだけを「YES」で選び、登録せずに自分で手入力したいものは「NO」を選択できます。
仕訳の摘要(但し)も自動で取り込みますが、これも任意の適用に書き換えができます。
一度、任意の内容に書き換えた摘要は、次回以降は自動的に再利用でき、またいつでも元の摘要に戻すことが可能です。
例えば、楽天市場のとあるお店で、クレジットカードを使って、毎月継続的に備品を購入している場合。
クレジットカードの明細には「ラクテン」のような簡素な内容しか記載されないかもしれません。
これを一度、「楽天市場の◯◯ショップで封筒を購入」のように、任意の摘要に書き換えておくと、次回以降は自動的に左記の摘要を提案してくれます。
もちろん、マネーフォワードクラウド会計では細かい設定もできるので、購入金額が200~350円なら「楽天市場の◯◯ショップで封筒を購入」、購入金額が1,000円~1,300円なら「楽天市場の△△ショップでボールペンを購入」、それ以外の金額の場合はクレジットカードの明細に記載されている「ラクテン」を摘要として提案するといった、自動仕訳ルールが作れます。
データの自動取り込み機能よって、時間の短縮はもちろん、金額などを入力しなくてよいので入力ミスが減るという2つのメリットが得られます。
2.仕訳ルールの学習機能
マネーフォワードクラウド会計では、手動入力による仕訳も行えます。
一度入力した仕訳や、自動取り込みで修正した仕訳についてはマネーフォワードクラウドが自動的に「学習」し、次回から正しい仕訳を提案してくれるようになります。
この学習機能によって、マネーフォワードクラウド会計は使えば使うほど賢くなり、自動仕訳の精度が向上、帳簿の入力もスピードアップします。
このように、マネーフォワードクラウド会計を導入するだけで大幅な業務効率化を実現でき、経理コストを削減できます。
この機能だけで、「記帳代行業者」や「経理部門の人員」といった直接的に利益に結びつかない業務にかかるコストを小さくでき、利益に繋がる部門への投資に集中することが可能です。
税理士や会計士と連携が取りやすい
クラウド会計ソフトは、情報をネット上に保存することで、どこからでも安全にアクセスできるのがメリットです。
日々の帳簿付けを税理士・会計士に任せている場合、定期的に業績の報告を受けなくても、会計士がマネーフォワードクラウドを導入していれば、経営者はいつでもリアルタイムで自社の業績を確認することができます。
また、仕訳などの帳簿付けを自分で行っている場合、わからないことがあれば税理士・会計士に対してIDとパスワードを発行し、現在の仕訳状況を確認してもらうことができ、遠方地からでもすぐにアドバイスがもらえます。
また、経理担当の従業員に対しては、仕訳作業だけができる権限を付与しておけば、その従業員は帳簿データの持ち出しなど、重要な機能が使えないので、情報漏えいを防ぐことにも繋がります。
もちろん、仕訳作業を経理担当におこなってもらい、社長はその状況を遠隔からいつでも確認し、現在の業績を把握することができます。
Macでも使える
これまでの会計ソフトは、Windows用、Mac用に製品が分かれており、両方のパソコンで使うためには2倍のコストがかかっていました。
そしてもちろん、データの同期もできないので、仕訳作業をするには会計ソフトが入っているパソコンで作業をしなくてはなりませんでした。
しかし、マネーフォワードクラウド会計の場合はデータをクラウド上に保管し、Internet ExplorerやChromeといったブラウザで仕訳や帳簿の閲覧を行います。
よって、WindowsやMacなどは関係なく使うことができますし、複数のパソコンを使い分けている場合でも、IDとパスワードを使ってログインすれば、どの端末からでも同じデータが閲覧できます。
データの移行やバックアップが不要
これまでは、自社のパソコンにデータを保管していましたので、パソコンの買い替え時には会計データの移行、会計ソフトの再インストールが必要でした。そして、データが紛失しないように定期的にバックアップを取る必要性もありました。
しかし、マネーフォワードクラウド上に保管されたデータはすべて自動的にバックアップされていますので安心です。マネーフォワードクラウド会計の運営側のミスでデータが消失してしまう可能性は極めて低いです。
もし、クラウド上のデータ紛失が心配ということであれば、定期的にマネーフォワードクラウド会計のデータを自社のパソコンに保存することもできるので、安心です。
また、パソコンの買い替え時にデータを移行したり、会計ソフトを再インストールする必要は一切ありません。IDとパスワード、そしてインターネットの通信環境だけがあれば良いのです。
場合によってはコスト削減に繋がる
現在、経理担当者や記帳代行業者に帳簿付けを委託している場合は、前述の自動仕訳機能によって大幅にコスト削減ができるようになると思います。
しかし、マネーフォワードクラウド会計は毎年または毎月利用料がかかるので、古い会計ソフトをそのまま使っている中小企業・個人事業主にとっては、コスト増になる可能性があります。
私も以前は弥生会計を最初に導入して、その後は追加費用を払わずに使っていました。ですので、毎年利用料が必要なマネーフォワードクラウド会計に乗り換えたことでコスト負担は増えました。
しかし、クラウドサービスの良いところは常に最新のバージョンを使えることです。(アップデート料金は不要)
例えば、マネーフォワードクラウド会計に新しい機能が追加された場合や消費税率が変更となった場合など、税法が変わったとしても、それらにすべて自動的に対応してくれます。
こうした場合に追加の費用はかかりません。機能の追加や最新の税法への対応といったバージョンアップは、すべて年間利用料に含まれています。
また、年間利用料は他の会計ソフトと比較して若干安いので、これまで毎年ごとに新しい会計ソフトにバージョンアップしていた方にとっては、コストダウンにも繋がります。
グラフィカルなレポート
マネーフォワードクラウド会計では、取引先ごとの売上レポートやキャッシュフローレポートが、綺麗なグラフで閲覧できます。
仕訳データの自動取り込みによって、これまで溜まってから処理していた仕訳がリアルタイムで帳簿に反映できるので、当然会計レポートもリアルタイムのデータを参照したものとなり、価値のあるデータとなります。
リアルタイムなデータ入力とグラフィカルなレポートで、常に最新の業績が把握できるので、「今月は経費をかけすぎたから来月は経費削減しよう」といった改善策もスピーディーに考えることが可能です。
マネーフォワードクラウドシリーズとの連携で業務効率化
マネーフォワードクラウドシリーズは、会計ソフトだけではなく、
- マネーフォワードクラウド請求書
- マネーフォワードクラウド給与
- マネーフォワードクラウド経費
など、いくつもの業務効率改善に繋がるツールをリリースしています。
マネーフォワードクラウドでは、これらのすべてのツールを1つのパッケージとして提供しています。
そして、マネーフォワードクラウドシリーズはすべて連携できるようになっているので、「半自動的に発行した請求書を自動的に会計ソフトに記録し、入金があったら自動的に消込する」、といったように一連の経理業務がすべて自動化できます。
サポートやバージョンアップが早い
マネーフォワードクラウド会計の使い方でわからないことがあれば、電話・メール・チャットでいつでもサポートに問い合わせることができます。これらはすべて利用料に含まれているので無料です。
これまでの会計ソフトでは、使い方がわからないとすぐに「安心サポートプラン」のような別料金がかかっていました。このように考えると、電話・メール・チャットによるサポートが基本料金に含まれているマネーフォワードクラウド会計はお得と言えるかもしれません。
使い方がまったくわからないという方向けに訪問サポートも実施しています。(訪問サポートは有料)
そして、私が実際にマネーフォワードクラウド会計を使っていた感じたことは、とにかくバージョンアップが早いことです。
新機能が続々と追加されたり、使いにくかった部分がすぐに改善されるので、日に日に使いやすい会計ソフトへと進化しています。
こういったスピード感のある対応はマネーフォワードクラウドならでは。もちろん、これまでのようなインストール型の会計ソフトではこうしたメリットは受けることができません。
データの移行が簡単
他社の会計ソフト「freee(フリー)、弥生、会計王など」のデータを取り込むことができます。
他社の会計ソフトからマネーフォワードクラウド会計への乗り換えは非常に簡単なので、私も特に問題なく移行作業は完了しました。
また、マネーフォワードクラウド会計から他の会計ソフト用のデータを吐き出すこともできます。
実際、私の会社ではマネーフォワードクラウド会計を導入していますが、税理士さんに決算書を作成してもらう時は、別の会計ソフト用のデータを吐き出し、渡すようにしています。
大手銀行などが次々に出資
マネーフォワードクラウド会計を運営するマネーフォワード社はフィンテックの代表的企業として期待されています。会計ソフトのクラウド化、仕訳の自動化はまさに、「フィンテック(金融+テクノロジー)」の名前にふさわしい取り組みですよね。
すでに、マネーフォワードクラウド社には多くの銀行や企業、ベンチャーキャピタルが出資しており、2017年には上場を果たしています。
また、様々な銀行との業務提携も行っています。こうした大手企業のバックアップがあることも、安心感に繋がるのではないでしょうか。
気になる料金は?
マネーフォワードクラウド会計(マネーフォワードクラウド確定申告)では、人気の5製品
- クラウド会計(クラウド確定申告)
- 請求書作成・管理
- 給与計算
- マイナンバー管理
- 経費精算
をパッケージで提供しています。(単品販売はしていません)
クラウド会計単体で使う場合、少々価格が高いと感じますが、その他のマネーフォワードクラウド製品も合わせて使うことを考えると、割安です。
現在、他社の請求書作成ツールなどを使っている場合は、マネーフォワードクラウドに一本化することで、トータルコストを引き下げることができます。
料金プランは以下のとおりです。
上位プランになるほど、クラウド会計・請求書作成ツールにおいてより高度な機能が使えるようになります。
▼個人事業主向けの料金プラン
プラン名 | パーソナルミニ | パーソナル | パーソナルプラス |
---|---|---|---|
月額料金 | 1,078円 | 1,408円 | なし |
年額料金 | 10,560円 | 12,936円 | 39,336円 |
年額プランの実質月額 | 880円 | 1,078円 | 3,278円 |
※税込の料金です
▼法人向けの料金プラン
プラン名 | スモールビジネス | ビジネス |
---|---|---|
月額料金 | 4,378円 | 6,578円 |
年額料金 | 39,336円 | 65,736円 |
年額プランの実質月額 | 3,278円 | 5,478円 |
※税込の料金です
導入のメリットがとても大きいツールなので紹介しました。従来のインストール型の会計ソフトを使っていた事業者は、マネーフォワードクラウド会計に乗り換えることで、業務効率が向上するはずです。

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