Amazon Businessのメリット、個人事業主・法人向けのアマゾンは何が違う?
執筆者:川原裕也 更新:
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ネット通販大手のAmazonは、ビジネスアカウント「Amazon Business(アマゾンビジネス)」を展開しています。
法人価格や請求書払いが使えるほか、複数ユーザーの利用で社員それぞれが会社の備品を購入できる仕組みなど、ビジネスで使える機能が豊富です。
わかりやすく言うと、オフィス用品の通販で有名な「アスクル」に対抗したサービスとなります。
ビジネスアカウントは無料で利用できます。
ただし、Amazonビジネスは、個人事業主・法人だけが使えるサービスです(一般個人の方は登録できません)。
私もよく利用しているAmazon。早速、ビジネスアカウントを試してみました。
この記事では、Amazonビジネスアカウントを使うメリット・デメリット、そして個人向けアカウントとの違いを解説します。
目次
Amazonビジネスのメリット
Amazonビジネスアカウントのメリットをわかりやすく説明します。
個人的には、「単純に安い商品がある」ということ、そしてBusinessプライム会員に入会すると「1品からでも送料無料で注文できる」ことにメリットを感じています。
ビジネスアカウントと個人アカウントは種類こそ違いますが、ビジネスアカウントでも「Amazonのスマホアプリ」は共通して使えます。
法人価格で安い商品がある
Amazonビジネスで買える商品と、個人アカウントで買える商品は同じです。
しかし、Amazonビジネスはオフィス用品の販売に力を入れており、一部の商品は個人アカウントよりも安い法人価格で買えます。
- 個人アカウントと価格が同じ
- 個人アカウントよりも価格が安い
のどちらかなので、価格面で損することはありません。
私の場合、新しいマウスパッドを1枚購入しようと考え、個人アカウントと法人アカウントで価格比較を行いました。
すると、個人アカウントでは1枚197円だったものが、ビジネスアカウントでは「法人価格 152円」で買えました。
金額差は大きくありませんが、割引率に換算すると約30%も安く購入できたことになります。
また、ビジネスアカウントは「税抜き」「税込み」の2つの価格表記が行われているのも特徴です。
ビジネスアカウントは登録無料ですので、個人事業主・法人にとっては、「法人価格」で買えるだけでも、十分な利用メリットがあると思います。
また、Amazonによると一部の商品は一定数量をまとめ買いすることで価格が下がる「数量割引き」もあるとのこと。
もちろん、商品を選ぶ際はアマゾンでおなじみのユーザーレビューが閲覧できますので、商品の評価や評判を見ながら購入の意思決定が行なえます。
Businessプライム会員なら1品からでも送料無料
Amazonビジネスでは、通常のAmazonアカウントと同じく、3,500円以上の注文で送料無料になります。
3,500円未満の場合は、1注文あたり通常410円~450円の送料がかかります。
しかし、有料サービス「Businessプライム」に入会すると、注文金額に限らず、1品からでも送料無料でAmazonビジネスが利用できます。
また、ビジネスプライム配送特典ではほかにも、
- お急ぎ便・当日お急ぎ便
- 日時指定便
が何度でも無料で使えるメリットがあります(これらのサービスも通常なら、1回あたり510円~の手数料がかかります)。
ただし、「あわせ買い対象商品」については、ビジネスプライム会員でも、3,500円以上の注文が購入条件となります。
いずれも、個人向け有料サービス「Amazonプライム」の配送特典と同じです。
Amazonビジネス(無料会員)
- 3,500円以上の注文で送料無料
- お急ぎ便・当日お急ぎ便:有料
- 日時指定便:有料
Businessプライム会員
- 金額に関係なく1品から送料無料
- お急ぎ便・当日お急ぎ便:何度でも無料
- 日時指定便:何度でも無料
※ただし「あわせ買い対象商品」は3,500円以上の注文で送料無料。出品者が直接販売する「マーケットプレイス商品」の場合は送料が有料になる場合あり。
請求書払いが使える
Amazonビジネス限定特典として、請求書払いが使えます。
請求書払いを登録しておくと、Amazonビジネスで購入した商品代金を、1ヶ月分まとめて後払いできます。
支払いは請求書締め日の1ヶ月後です。締め日は5日、10日、15日、20日、25日、末日から選択可能です。
ただし、請求書払いは無制限に行えるわけではなく、Amazon側で審査を行っており、企業(または個人事業主)によって、請求書払いの限度額が設けられます。
私の場合、Amazonビジネスに登録してから3日ほどして、Amazonから勝手にメールが届きました(事前申込は不要です)。
Amazonビジネスをご利用頂きありがとうございます。
株式会社クートン様は、クレジットカード、代金引換などの支払い方法に加え、新たに請求書払いをご利用いただけます。
月末締翌月末払いのお支払い条件にて、 ¥◯◯◯ が、お支払いが完済するまでのご購入可能限度額となります(月当たりの購入可能限度額ではありませんのでご注意ください)。
請求書払いをご希望のお客様は、以下の設定をお願いいたします。
※株式会社クートンは当サイトを運営している私の会社です。
経費の支払いを月末にまとめたい、後払いで資金繰りを改善したい、きちんとした請求書を発行して欲しいといった場合に、Amazonビジネスの請求書払いが使えます。
もちろん、これまで通りクレジットカード払いなども利用可能です。
複数ユーザーで使えるので稟議書いらず
消耗品や備品の購入を組織で行いたい場合にも、Amazonビジネスは適しています。
1つのビジネスアカウントを使って、権限の違う複数ユーザーで商品購入ができるので、経費管理の効率化にも役立ちます。
つまり、社員それぞれが「備品などを経費で自由に購入できる」仕組みを簡単に構築できます。これまでのように「稟議書」などを作成する手間が省けます。
ユーザーごとに、発注上限金額(自由に使える予算)を設定できます。
また、購入確定前に決済管理者に承認メールが届き、管理者が購入OKを出したものだけ、正式に発注することも可能です。
また、社員が購入前の商品画面で簡単に「見積書」をダウンロードすることも可能です。
- 経費で買いたい商品をカートに入れる
- ショッピングカートのページに移動
- 画面右側にある「見積書」のダウンロードボタンをクリック
安全な仕組みでそれぞれの社員に予算を割り当てられるので、自由度が高まり、業務スピードが上がります。
購買分析ダッシュボードで購買履歴を把握
Amazonビジネスでは、会社全体の利用状況の分析レポートを閲覧できます。
「誰が、何を、いつ、どれくらい買ったのか?」というくわしい内容が、レポートでグラフィカルに分析できるようになっています。
特定のグループに分けて分析したり、ユーザーごとに購買履歴を見ることもできるので、経費の使いすぎ防止や、社員の不正利用にも役立ちます。
※購買分析ダッシュボードは、Businessプライム Essentialsプラン以上で利用可能なサービスです。
ダンボール箱が違う
Amazonビジネスで買い物をすると、ダンボールの表記が「Amazon」に変わります(これは、私が利用したときに、たまたまそうだっただけかもしれません)。
- 個人アカウントで注文
- ダンボール箱には「Amazon.co.jp」と表記されている
- ビジネスアカウントで注文
- ダンボールの表記が「Amazon」に変わる(米Amazon.comのロゴ)。
これはメリットでもデメリットでもありません。
また、一時的なものであり今後変更になる可能性もありますが、現時点ではダンボールの表記が変わることは覚えておきましょう。
評判の良いアマゾンのダンボール箱が変わってしまうと、少し寂しい気もしますね。
申込は3分、登録には1営業日かかる
登録方法は簡単です。Amazon Businessの公式サイトから「無料登録」するだけです。
登録時に、会社名などの事業所概要を入力する必要がありますが、申込み手続きは3分程度で完了します。
その後、アマゾン側で審査が行われますが、私の場合は1営業日で登録が完了しました(公式サイトには、通常は3営業日以内で登録完了と書かれています)。
Amazonビジネスへの登録方法は2つあります。
- 新しくビジネスアカウントを発行する
- 個人用アカウントとビジネス用アカウントを分けて使います。こちらがおすすめ。
- 個人用アカウントをビジネス用に変更する
- これまで使っていた個人のアカウントをビジネスアカウントに引き継ぎます。
おすすめなのは、まったく新しい別アカウントととして「ビジネス用アカウント」を作る方法です。
これなら、これまで使っていた個人用のアカウントはそのままで、新しく会社用のアカウントでAmazonビジネスが利用できます。
また、隠れたメリットとして「価格の比較ができる」ことがあります。
基本的に、個人で買えるものはビジネスでも買えますし、ビジネス用の方が価格は安いので、あくまでも「価格を比べてお得感を感じられる」というだけです。
また、すでに個人用アカウントで「Amazonプライム会員に入っている」場合も、こちらの登録方法がおすすめです。
なぜなら、Businessプライムの特典では、個人向けのAmazonプライムで提供されている一部のサービスが提供されていないからです。この点についてくわしくは後述します。
個人用・ビジネス用のアカウントを別々で発行するには「別々のメールアドレス」が必要です。
ビジネスアカウントの登録が完了し、2つのAmazonアカウントを所有している状態でも、下記の方法で簡単に「アカウントの切り替え」ができます。
個人アカウントの引き継ぎは慎重に
これまで使っていた個人用のアマゾンアカウントをビジネス用に切り替えることもできます。
過去のAmazon購入履歴が引き継げるのがメリットです。また、複数のアカウントを持つのが面倒な方には、こちら方が扱いやすいと思います。
しかし、こちらの方法にはデメリットがあります。
実は、個人向けの有料サービス「Amazonプライム」と、ビジネス向けの有料サービス「Businessプライム」にはサービス面における違いがあります。
お急ぎ便(ビジネスアカウントでは「ビジネスプライム配送特典」と呼びます)などは、Amazonプライム、Businessプライムどちらでも無料で使えますが、
- Amazonプライムビデオ
- Amazonミュージックプライム
- AmazonプライムNow
などは、Businessプライムでは提供されていません。
よって、すでにAmazonプライム会員に入会していた人が、同じメールアドレスでビジネスアカウントに切り替える場合、必然的に「Amazonプライム会員」から「Businessプライム会員」になるため、上記のエンタメ系サービスの提供を受けられなくなります。
「お急ぎ便」を使うことが目的でAmazonプライム会員に入っていた人にとっては、Businessプライムに切り替えても大きなデメリットはありません。
しかし、プライムビデオやミュージックといったエンタメ系サービスを利用する方は、個人向けアカウントを維持し、引き続きAmazonプライムの利用を続ける方がお得です。
上記の理由から、多くの人にとっては「個人向けアカウントをビジネス版に切り替えるよりも、まったく新しいビジネスアカウントを作る」方がメリットが大きいと思います。
個人向けのAmazonプライムと、ビジネス向けのBusinessプライムの料金比較は以下の通りです。
Amazonプライム(個人向け)
- 5,900円 / 年
Businessプライム(事業者向け)
- Essentials(最大3ユーザー):5,900円 / 年
- Small(最大10ユーザー):13,500円 / 年
- Medium(最大100ユーザー):37,800円 / 年
- Unlimited(ユーザー数無制限):270,000円 / 年
Businessプライムの「Essentials」プランなら、個人向けのAmazonプライムとほぼ同じ年会費で、最大3人までのメンバー全員がBusinessプライム特典を利用できます。
3人以上で利用する場合(Smallプラン)も、各自がAmazonプライムに個人加入するよりも、組織でBusinessプライムに入会する方が、より安価にBusinessプライム特典を活用できます。
※2024年4月時点
※料金は税込です。
過去の購入履歴が見られないよう注意
個人向けアカウントからビジネスアカウントに移行する方法を選んだ場合、もう一つ大きなデメリットがあります。
それは、過去の注文履歴が引き継がれてしまうため、ビジネスアカウントの管理者(全体の注文履歴を閲覧できる権限を持つ人)に、過去にAmazonで買った商品の内容を見られてしまうことです。
もし、あなただけがビジネスアカウント管理者であり、将来もそれが変わらないということであれば問題ありません。
しかし、将来的に特定の社員などが管理者になる場合、個人アカウントの切り替えでビジネスアカウントを作ると、過去の個人的な購買履歴が知られてしまいます。
こうしたデメリットも含めた上で、私としては「新しいメールアドレスでビジネス専用アカウントを作り、個人アカウントとは別々に管理する」方法をおすすめしたいと思います。
Amazonビジネスアカウントを元に戻すには?
個人アカウントをビジネスアカウントに引き継いだものの、あとからやっぱり個人アカウントに戻したいと思う方も多いと思います。
この場合、一度登録したAmazonビジネスアカウントを個人用アカウントに戻すことができます。
私自身も、最初の登録をミスってしまい、個人・ビジネスで別アカウントを発行するつもりが、個人用アカウントをビジネス向けに移管してしまいました。
アカウントを元に戻す方法(解約方法)は簡単です。
- 画面右側の「◯◯さん 株式会社◯◯のアカウント」から、「ビジネスアカウントの管理」を選びます。
- 「ビジネスアカウントの管理」ページ内にある「ビジネスアカウントの登録解除」リンクをクリックします
- ビジネスアカウントを解約すると、個人アカウントに移行します
解約手続きはすぐに完了します。
個人事業主は開業届の提出が必須
個人事業主がAmazonビジネスに登録する場合は、下記の書類の提出が必要です。
以下のいずれか1点のコピーを提出
- 過去2年以内の確定申告書B
- 開業届出書
- 過去2年以内の所得税青色申告決算書
- 過去2年以内の青色申告承認申請書
- 過去2年以内の収支内訳書
- 営業許可証 – 飲食業、小売など
- 施設所開設届出書 – 医療センター、診療所など
※税務署の確認印が押されている必要があります。e-TAXで青色申告書を提出した場合は、受信通知のコピーも提出します。
※決算数値やマイナンバーなどは隠してOKです。
一方、法人の場合は、特に必要な提出書類はありませんでした。
おそらく、法人の場合は「実在している・していない」の確認が簡単にできるので、個人事業主の提出書類も「きちんと開業した個人事業主かどうか」を確認する目的で使用していると思われます。
業績を見たいわけではなく、事業者としての実在確認をしているわけですね。
なお、個人事業主でも「白色申告」を選んでいる場合は登録できません(Amazonに確認したところ、青色申告が必須となるため、白色申告の個人事業主は登録の対象外との回答をいただきました)。
▼青色申告と白色申告の違いは下記の記事で解説しています。
あわせて読みたい:
青色申告と白色申告の違いは?メリット・デメリットをわかりやすく解説
個人事業主・法人にとってメリット大
通常よりも安い「法人価格」で買える場合があることが、Amazonビジネスのメリットです。
また、有料サービス「Businessプライム」に加入すれば、
- 「お急ぎ便・お届け日時指定便」が無料で使える
- 1品から送料無料で注文できる
ことも大きな強みとなっています(※「あわせ買い対象商品」については、ビジネスプライム会員でも、3,500円以上の注文が必要)。
複数のメンバーで「お急ぎ便」や「1品からの送料無料特典」を利用できることを考えると、ビジネスでAmazonを利用する場合は、「Amazonプライム」よりも「Businessプライム」を選ぶ方がお得です。
取り扱い商品数を比較すると、
- アスクル:1,374万点以上(2024年4月時点)
- MonotaRO(モノタロウ):2,200万点(2023年12月時点)
- Amazonビジネス:3,000万種類以上(2024年4月時点)
と、取り扱い商品数ではAmazonビジネスが圧倒的にリードしています。
価格の高い・安いは商品によって異なってくると思いますが、無料でアカウントが発行できることからも、仕入先・備品購入先のひとつとして、Amazonビジネスの利用価値は大きいと思います。
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