経営者は孤独、事業の悩みを解決するために私がやっている3つのこと
執筆者:川原裕也 更新:
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事業を続けていると、大企業・中小企業・個人事業主に関係なく「壁」にぶち当たるものです。
そのような時、経営者は悩みます。悩みの大小はあれ、事業で生じる「壁」は個人事業主でも上場企業の経営者でも関係なく、経営を続けている限り立ちはだかるものです。
しかし、経営者は孤独な存在ですから、悩みを社員に打ち明けることができず、一人で抱え込んでしまうことも少なくありません。
経営者がどうすれば良いかわからない八方塞がりの状態になってしまっては、会社の将来は絶たれてしまいます。
そこで今回は、私自身が事業で悩んだ時、どのように問題を解決しているか、その方法を共有したいと思います。
まずは悩みをすべて書き出す
「◯◯について悩んでいる」と明確にわかっていれば良いのですが、「なんとなく不安、調子が悪い」ということも少なくありません。
そのような時にまず最初に私が行うことは、「自分が何について悩んでいるのかを知るために、悩みの原因と思われるもの(不安に思っていること)をすべて書き出す」という作業です。
例えば、
- 売上が落ち込んでいることに悩んでいる
- 開発している新製品が本当に売れるかどうか心配
- 新入社員が失敗ばかりで取引先からのクレームが増えている
- 銀行からの借入金利が上がるのではないかという不安
といったようなことですね。
悩みの原因は大きく「現在すでに起こっている問題」と「将来の見通しに対する不安」に分けられます。
どんなに小さなことでも良いので、悩みの種となっているものをすべて書き出します。
悩みの種をすべて特定することができたら、次は「できること・できないことを切り分けて考える」という仕分けの作業を行います。
今すぐできること・できないことを切り分けて考える
悩みの中には、
- 今すぐできること
- 今すぐできないこと
の2つがあります。
例えば、「新入社員が失敗ばかりで取引先からのクレームが増えている」という問題に対しては「社員の教育に力を入れてクレームを減らす」ことや、あまりに酷いなら「問題の種となっている新入社員をクビにする」ということができます。
いずれも、今すぐに実行できることです。
逆に、「開発している新製品が本当に売れるかどうか心配」という不安に対しては、実際に商品を販売してみないことには売れる・売れないの結果は誰にもわからないので、今思い悩んでも仕方がありません。
よって、これは「今すぐに解決できないこと」に分類されます。
「今すぐ解決できないこと」にどれだけ悩んでも、神様でもない限り今すぐ解決はできないわけですから、まずは「今すぐ解決できること」に注力し、1つでも悩みの種をなくすことで、問題解決への大きな一歩を踏み出せます。
人は未来のこと(起こってみないとわからないことであるにも関わらず、まだ起こっていないこと)に対して不安になる生き物です。
「明日の幸せを科学する」という本を書いたダニエル・ギルバートによれば、「まだ起こっていない未来のことを想像して嬉しくなったり不安になったりするのは、動物にはない人間だけの特性」なのだそうです。
将来のことに対して不安になるというのは、それだけ「人間らしい」ということです。
そして、上記で紹介した「今すぐできること、できないこと」に切り分けることで抱えている悩みを解決できるのも、人間ならではの知恵と言えるでしょう。
自分の力でどうにかできること、できないことを切り分けて考える
次は、自分の力でどうにかできることと、そうでないことを切り分けて考えます。
これも「今すぐ解決できない問題」とほぼ同じです。事業をやっていれば「自分の力でコントロールできない問題」というのはたくさん存在します。
先ほど例としてあげた「銀行からの借入金利が上がるのではないかという不安」という問題はまさにその典型です。銀行からの借入金利が上がるかどうかは銀行次第(市場金利次第)なので、自分の力ではどうにもできません。
やれることは、せいぜい借入依存度を縮小する努力をすることくらいでしょう。
また、農家が天候について気にしても仕方ありません。農業を営む人にとって天候は事業結果に大きな影響を与えます。
しかし、自分の力で天候をコントロールすることは不可能なので、それについて悩んでも仕方がないわけです。
せめてできることは、天候に左右されにくい取り組みを行うことや、天候に左右されにくい農作物を作ることでしょう。
世界的にも有名な投資家であるチャーリー・マンガーは以下のように語っています。
自分が解決できないことを心配して時間を浪費するのは、建設的とはとても言えない。お金を運用するなら、何かとんでもない事態が起こるかもしれないと覚悟するしかない。それ以外は、愚かな楽観主義者でいればいい。
どう考えても自分が解決できない問題について悩んでも仕方がありませんが、人は思い悩むとそれすら見失ってしまいます。
だからこそ、悩んだ時は「自分の力でどうにかできることと、そうでないこと」を切り分けて書き出してみることが重要だと私は考えています。
▶切り分けて考えるという作業
たくさんある悩みを切り分けて考える作業によって、「今すぐ解決すべき問題」を発見することができます。
そして、今すぐ解決すべき問題を解決するためには、その問題の解消方法として考えられることを、どれだけ小さくても良いので100個書き出します。
例えば、「新入社員が失敗ばかりで取引先からのクレームが増えている」という問題を今すぐ解決すべきだという結論に至ったのなら、「新入社員の教育方法」または「取引先からのクレームを減らす方法」についてとにかく100個書き出します。
こうすることで、「到底解決できそうにない問題」であっても、手がつけられるところから実行に移す事ができます。
ソフトバンクに学ぶ、驚くほどのコスト削減が実現できる施策とはという記事にも書きましたが、ソフトバンクはコスト削減を行うために、まずは小さなものでも良いからとにかく1,000個、書き出したそうです。
大きな悩みや問題はこのように細分化して、実行ベースに落とし込むことで解決策を導きます。
自分がリーダーであることを忘れない
最後に、私が悩んだ時こそ大事にしていることを共有します。
それは、個人事業主・中小企業経営者を問わず、経営者とは「リーダー」であることです。
「自分がリーダーであることを忘れない」というのは、事業の失敗を避けるためのとても重要なポイントの1つだと思います。
人は不安になったりわからないことがあると、誰かに教えを請いたくなったり、すがりたくなるものです。
このような時に経営者に手を差し伸べるのが「(自称)コンサルタント」と呼ばれる人たちです。
経営者はその孤独さに耐えられず、悩みがあるとすぐにコンサルタントを雇おうとします。(自分がリーダーなのにも関わらずです)
コンサルタントのアドバイスを聞きながら、コンサルタントに言われた通りに動く社長。果たしてその社長はカッコイイでしょうか?(もはや誰がリーダーなのかわかりません)
自分がリーダーであることを忘れ、ただ(自称)コンサルタントの言いなりとなっている社長の元に、お金は残りません。得たお金はすべてコンサルタント料として吸い上げられてしまいます。
悩みや不安に負けてしまい、自分の頭で考える事から逃げてしまう人は本当に多いです。
しかし、このような時こそ自分自身がリーダーであることを忘れず、自分自身の力で問題を解決に導こうとする姿勢が経営者には求められるのです。
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