書類の契約もクラウド化?弁護士ドットコムが手掛けるクラウドサインが凄い
執筆者:川原裕也 更新:
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昨今、「ファイナンス+テクノロジー」の「フィンテック」という言葉が話題となっていますが、それと合わせて「リーガルテック」なるものも存在しています。
リーガルテックはもちろん「リーガル+テクノロジー」の造語で、契約等の法務に関する手続きにテクノロジーを加える取り組みです。
その中でも最も分かりやすく使い勝手が良さそうな「クラウドサイン」というサービスを見つけたのでご紹介します。クラウドサインは上場企業の「弁護士ドットコム」が運営しています。
「リーガル・テック」
法律業務の効率化を図る技術の総称。アメリカにおいて近年注目分野として定着しつつあり、クラウド技術、ブロックチェーンを活用した契約締結業務への応用や、人工知能による⾃然言語解析技術の判例⽂書検索、ディスカバリー業務への実用化が進んでいる。アメリカでは FinTech に次いで、今後注目される応用分野として期待されている。特にブロックチェーンにおいては、欧⽶の法律事務所においても導入検討の事例が存在する。
クラウドサインを活用することで、これまで時間がかかっていた契約作業をたったの数分で完了させることも可能となります。
目次
契約書類の電子化、クラウド管理ができるクラウドサイン
クラウドサインは一言で言うと「契約書の電子化ができ、そのファイルをクラウド上で管理できる」サービスです。
つまり、クラウドサインによって紙の契約書を廃止することで、契約書に印鑑を押す手続きや、書類の保管場所を気にする必要がなくなるということです。紙の契約書がなくなると、郵送代の削減にも繋がりますよね。
もちろん、クラウドサインで締結した契約書は正式なものとして法的にも認められます。
書面ではなく当サービスで契約を締結することは、法的に有効なのでしょうか。
日本の法律では基本的に契約方式は自由ですので、当サービスで契約を結ぶことに問題はありません。ただし、例外的に書面を交付することが要求される契約もありますので、ご心配な場合は、弁護士等にご相談ください。
印紙税や郵送費用が不要
紙の契約書の場合、売買契約書など、契約内容によっては印紙税の貼付が必要となります。
しかし、電子データには印紙税は不要とされているので、クラウドサインを使って契約を締結した場合の印紙税は必要ありません。
クラウドサインは、弁護士向けのサービスを提供している「弁護士ドットコム」が提供しているので、この点については問題ないと思って良いと思います。
印紙税法にて、印紙税の対象は課税文書とされていますが、現時点では電子データは課税文書にあたらないとされています。
また、電子データのやり取りで契約書が作成できるので、紙の契約書でかかる郵送コストの削減もできます。
強固なセキュリティとデータ保管の安全性
クラウドサインの情報は2048bitでSSL暗号化されておりセキュリティは問題ありません。
最近はクラウド型会計ソフトの「マネーフォワードクラウド会計」なども含め、多くのクラウドサービスが登場しています。
いずれも、100%安全とは言えないのですが、強力な暗号化によって守られています。時代の流れを考えると、100%の安全制を求めずに、ある程度のリスクを受け入れていくことも必要だというのが私の考えです。
最も、大切なデータを自社のサーバーに保存することによるデータ消失の危険性や、自社の金庫に保管しているものが盗難されるリスクも考えると、クラウド型のデータセンターにデータを預ける方が安全だと思います。
なぜなら、クラウド型のサービスはデータセンターで多重バックアップが取られているからです。
データセンターが火災に見舞われたり、保管しているデータが消失しても、多重バックアップが行われているので安全性は非常に高いです。
小規模法人なら料金は無料
クラウドサインの料金プランは3つに分かれます。
フリープラン
主に個人事業主向け(法人でも利用可能)
月額費用:無料
契約書の送信1件ごとに:0円
契約書の送信件数:5件 / 月
スタンダードプラン
主に法人向け。
月額費用:1万円
契約書の送信1件ごとに:200円
契約書の送信件数:無制限
その他、テンプレート機能や複数のユーザーで管理する機能、横断検索、サポートなどが利用可能。
ビジネスプラン
月額費用:10万円
契約書の送信1件ごとに:200円
契約書の送信件数:無制限
アカウント登録制限、IPアドレス制限、承認権限設定などを追加。
毎月、何十件もの契約を交わすような事業であればスタンダードプランを使う必要がありますが、たまに契約書を必要とするような小規模法人や個人事業主レベルであれば、フリープランで十分対応できそうです。
個人的にはフリープランの継続を願いたいですね。
頭に入れておきたいのは、クラウドサインは双方が利用することに合意しなければ活躍できないということです。
時間やコスト削減のためにクラウドサインを積極的に使いたいと思っても、相手側に「紙の契約書」を求められるケースも多いと思います。
そうなると、毎月の送信件数も限定されてくるので、実務を想定した時にどれくらいの頻度で利用するかを考えてから、プランを決定することをおすすめします。
また、
当サービスの電子署名の有効期間は1年間です。有料オプションとして有効期間が10年間の長期署名にも対応予定です。
となっているので、将来的には有料プランの選択が必要で、「フリープランはお試しプラン」の扱いになるのかもしれません。
ただ、一般の事業法人が契約書の作成にかけているコストは年間12万円に満たないと思うので、そう考えると、多くのアカウントがフリープランで対応できる「フリーミアムモデル」にしてもらえると助かりますよね。
ブロックチェーン技術の導入でさらなる飛躍も
昨今話題となっているブロックチェーン技術は、安定した稼働と改ざん防止に役立つ技術として、ビットコインなどへの応用で知られています。
弁護士ドットコムでは、ブロックチェーン技術をクラウドサインに導入できないか検討をすすめています。
もし、将来的にクラウドサインにブロックチェーン技術が使われるようになると、電子契約書の信頼性を大きく高められるはずです。
ブロックチェーン技術を用いて所有権移転などの契約の⾃動執⾏を可能とし、従来の書⾯による契約締結実務をより効率化かつ安全に進める技術「スマートコントラクト・システム」の開発を、高い改ざん防止性やゼロダウンタイムの実現などを目指し、共同で検討開始いたします。
クラウドサインの使い方
クラウドサインの使い方は簡単です。
まずは無料のアカウントを取得します。
契約書のPDFをアップロードします。
クラウドサインにアップするPDFは契約書の完成版です。
署名・押印する場所を設定
著名欄や押印欄をクラウドサイン上で設定。署名や押印はクラウドサイン上で入力する必要があるので、PDFの段階では空白にしておき、クラウドサイン側で入力項目を作成します。
契約を締結
あとは送信ボタンを押すだけで相手側に契約書が届きます。取引相手は契約書の内容を確認した後に、著名欄に入力し、クラウドサイン上で作成した印鑑を押して契約完了です。契約書を送信する際、相手側がクラウドサインのアカウントを持っていなくてもOKです。
契約の電子化が進むのは時間の問題?
アメリカでも同じような「DocuSign」というサービスが広がっています。
クラウドサインが一般企業に浸透していくにはまだ時間がかかると思いますが、便利なサービスなので簡易的な契約から取り入れてみてはいかがでしょうか?
なお、クラウドサインは上場企業を含めてすでに2,000社以上の導入実績があるとのこと。今後、類似のサービスもたくさん登場してくると思いますから、普及すると業務効率が一気に上がりそうですね。
クラウドサインは、契約締結における煩雑な手間、多大な時間、郵送代等のコストなど、多くの企業が抱える悩みを一気に解決し、契約締結のスピード化、コスト削減、管理機能が強化できる点を高く評価いただいております。
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