ゆうちょBizダイレクトとゆうちょダイレクトの違い、法人口座の手数料が無料なのは?
執筆者:川原裕也 更新:
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あまり知られていないのですが、ゆうちょ銀行でも法人口座の開設が可能です。
もちろん、ほかの銀行と同様に、ネットバンキングを使うこともできます。
ゆうちょ銀行は以前から、個人・法人問わず「ゆうちょダイレクト」というサービス名でネットバンキングを提供していました。
しかし2019年から、法人専用のネットバンキング「ゆうちょBizダイレクト」の提供を開始しています。
この記事では、ビジネス専用の「ゆうちょBizダイレクト」と、ビジネスでも使える「ゆうちょダイレクト」の違いをわかりやすく解説します。
ちなみに、現在は「ゆうちょダイレクト」と「ゆうちょBizダイレクト」どちらでも申込み可能です。
法人向けの高度な機能を希望する方は「ゆうちょBizダイレクト」、最低限の機能でコストを抑えたい方は「ゆうちょダイレクト」の選択をおすすめします。
目次
ゆうちょBizダイレクトの利用料金
気になる利用料金ですが、ゆうちょ銀行法人口座は3つのプランに分かれます。
サービス | 契約料金 | 月額料金 |
---|---|---|
ゆうちょダイレクト | 無料 | 無料 |
ゆうちょBizダイレクト スタンダードプラン | 5,500円 | 550円 |
ゆうちょBizダイレクト エキスパートプラン | 11,000円 | 1,100円 |
※税込です。
「契約料金」とは、ゆうちょBizダイレクトの契約時に1度だけ支払う導入費用のようなものです。
一般的な銀行の法人口座では、インターネットバンキングの利用料金に年間2万円以上かかるのが普通です。
ゆうちょBizダイレクトでは、契約後に月額料金が発生しますが、上位プランでも年間13,200円(税込)なので、ほかの銀行と比較して安価であると言えます。
対して、個人向けと同等のサービスとなる「ゆうちょダイレクト」なら、契約料金・月額料金ともに無料で使えます。
法人口座でインターネットバンキングが無料で使えるのは、ゆうちょ銀行とネット専業銀行だけなので、無料プランが用意されているのはとてもありがたいですね。
振込手数料はすべての料金プランで同じです。他行あて振込の場合、送金額に限らず一律165円(税込)となっています。
ゆうちょBizダイレクトのメリット
無料プランに相当する「ゆうちょダイレクト」がある一方で、有料プランとなる「ゆうちょBizダイレクト」が優れている点はどこにあるのか。
続いて、ゆうちょBizダイレクトならではのメリットをわかりやすく解説します。
複数人での管理ができる
ビジネス向けのインターネットバンキングなので、1つのアカウントを複数人で管理できます。
たとえば、経理担当者は取引明細の閲覧だけができ送金は行えない。承認権限を持つ上司が「承認」した取引のみ振込可能とする設定など。
利用者ごとに権限を設定できるので、管理者・担当者が分かれていても、柔軟に法人口座を管理できます。
通常の「ゆうちょダイレクト」ではこのような権限設定ができないため、1つのID・パスワードを社内で共有する必要があります。また、不正取引が生じても、誰が不正を犯したのか、わかりにくいです。
一方、担当者ごとのID発行や権限設定が可能なゆうちょBizダイレクトなら、「誰がその操作を行ったのか?」が透明化できるため、チームで1つの口座を管理する場合に強みを発揮します。
- 担当者ごとの権限設定
- 承認者による承認・確認後に取引実行
- 操作履歴の照会(操作ログを管理者が照会)
総合振込サービスの利用
※エキスパートプランでのみ利用可能なサービスです。
法人口座の場合、複数の取引先や大量の顧客に対して、一斉送金をする場合もあるかと思います。
ゆうちょBizダイレクトでは、総合振込サービスが使えるため、大量の振込手続きも簡単に行えます。総合振込サービスは月額料金に含まれていますので、別途費用はかかりません。
また、総合振込サービスには、「ゆうちょ銀行あての振込手数料が安い」という隠れたメリットがあります。
ゆうちょ銀行あて
- 年間10万件未満:66円
- 年間10万件以上:50円
- 年間100万件以上:39円
他行あて
- 165円
※税込
※通常振込の場合、ゆうちょ銀行あての振込手数料は一律100円(税込)となります
給与振込手数料が0円に
※エキスパートプランでのみ利用可能なサービスです。
ゆうちょBizダイレクトを利用する大きなメリットだと感じるのが「給与振込手数料の安さ」です。
「給与振込」に限り、特別な振込手数料を設定しています。
▼ゆうちょBizダイレクト 給与振込の振込手数料
- ゆうちょ銀行あて:無料
- 他行あて:110円(税込)
たとえば、社員が10人いる会社の場合を考えてみます。
給与振込口座をゆうちょ銀行にした場合、1年間に必要な振込手数料は0円です。
給与振込口座を他行にした場合でも、月間1,100円(税込)、年間13,200円(税込)のコスト負担で済みます。
ほかの金融機関を利用した場合、給与振込1件あたり200円程度の振込手数料がかかるのが相場なので、ゆうちょBizダイレクトを利用することで、給与振込にかかる手数料を約半分に抑えることができるというわけです。
ゆうちょBizダイレクトの月額料金を考慮しても、社員数が多い法人にとっては、このサービスだけで月額料金の元が取れる計算となります。
堅牢なセキュリティと補償
ゆうちょBizダイレクトでは、ネットバンキングを利用するにあたって懸念材料となる「不正送金被害」への対策も十分行われています。
前述の「承認者による確認後の送金」を設定しておくだけでも、不正送金のリスクを大きく減らすことが可能です。
加えて、ゆうちょBizダイレクトでは2つのログイン方式を採用しています。
- ID認証
- ID・パスワードでログインする方法です。どのパソコンからでもログインできますが、セキュリティ面では電子証明書に劣ります。
- 電子証明書認証
- 特定の端末にインストールした電子証明書と、パスワードでログインします。固有の端末からしかログインできないので、セキュリティは高いのですが、柔軟性に難ありです。
法人の場合、特定のPCしか使わないということも多いと思いますので、セキュリティを重視するのであれば「電子証明書を用いたログイン方法」がおすすめです。
WindowsとMacを使い分けていたり、デスクトップPCとモバイルPCで作業するなど、複数の端末でログインする可能性がある場合は「ID認証」がおすすめです。
ゆうちょBizダイレクトでは、電子証明書を使ったログイン方式も無料で提供しています。
振込手続きなどを行う場合は、送金前に「ワンタイムパスワード」の入力が必要です。
ワンタイムパスワードは専用のカード型ハードトークンに表示する仕組みなので安心です。
コンピューターと物理的に切り離されているハードウェア型のトークン(ワンタイムパスワード生成器)は、現時点でもっともセキュリティに優れた方法だと言われています。
▼カード型のハードウェアトークン(ワンタイムパスワード生成器)
トークンの発行は1台まで無料、複数人で法人口座を管理する場合など、2台以上のトークンが必要な場合は1台あたり2,750円(税込)で購入できます。
- 発行(1台目):無料
- 追加発行:1台あたり2,750円(税込)
- 紛失・盗難による再発行:1台あたり2,750円(税込)
- 故障・電池切れによる再発行:無料
また、ゆうちょBizダイレクトには最大3,000万円の補償が付いています。
万が一、不正送金が行われた場合でも、ゆうちょ銀行法人口座の規程にそって対策していた場合であれば、一定の補償が受けられるので安心です。
参照:ゆうちょBizダイレクトの不正利用に対する被害補償について
もちろん、1日あたりの送金限度額を設けておけば、トラブルが生じた場合でも、被害を最小限にすることができます。
ゆうちょBizダイレクトのデメリット
特に大きなデメリットはありませんが、2点ほど気になる点を取り上げます。
1つめは「入金お知らせメール」が有料のオプションサービスになっている点です。
入金お知らせメールとは、ゆうちょ銀行法人口座に入金があった場合、設定した通知時間にメールで知らせてくれるサービスです。
利用には月額550円(税込)の費用がかかります。
なぜこのサービスがオプションになっているのかはわかりませんが、入金お知らせメールを利用する場合は、月額費用に加えて追加で課金が必要となる点が、1つめのデメリットです。
2つめは、ゆうちょBizダイレクトの利用時間に関することです。
インターネットバンキングの利用時間は8時00分~23時30分までとなっており、24時間利用はできません。
ネット専業銀行であれば、24時間の利用は普通なのですが、上記のように利用時間が制限されているのは、法人向けのネットバンキングでは普通のことなので、ゆうちょBizダイレクトが特別劣っているわけではありません。
申込み方法
ゆうちょBizダイレクトへの申込みは、お近くの「法人サービス部」にて受け付けています。
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