社員が退職した時に会社が行う手続き方法と書類の書き方を解説

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退職届

社員が退職した場合、会社側は健康保険や雇用保険の退職手続きを行わなければなりません。

こうした手続きを社労士に依頼している経営者も多いと思いますが、今回は社長が自分自身で手続きすることを想定し、社員が退職した時に会社が行う手続き方法をまとめます。

手順にそって書類の作成・提出を行うだけで、従業員が離職したときの手続きはすぐに行えます。

離職者から必要なものを回収

パソコンとモバイル端末

社員から退職したいとの申出があった場合は、まず最初に

  • 最終勤務日
  • 退職予定日

を決めます。

通常は、有給休暇などを消化した上で、給料の締め日が正式な退職予定日になることが多いかと思います。

あわせて、退職する社員から会社が回収しておきたいものを指定します。例えば、以下のようなものが該当します。

社員証
社内で使っている社員証やIDカードなどがあれば回収。
健康保険被保険者証
本人と扶養親族の分を回収。退職予定日を過ぎてから郵送してもらう。
その他
会社名義のクレジットカードや携帯電話など、会社が従業員に貸し出していたもの。

いずれのアイテムも、「社員が急に退職してしまった場合」は、後日郵送してもらう形で構いません。

また、社員の離職後は、アカウントの閉鎖やパスワード変更など、社内で使っていたシステムへの不正アクセスを防ぐ作業も行っておきましょう。

私の会社では、各自に従業員用のクレジットカードを貸与しています。

法人カードの場合、社員名義のカードの解約手続きは書面で行われることも多いです。

サポートデスクに電話をし、クレジットカードの解約届を送ってもらい、それに記入して返送します。

予備も含め、複数枚送ってもらうと、次回以降の手続きが楽になるのでおすすめです。

雇用保険の手続き

ハローワーク

従業員が退職した場合、もっとも手続きが煩雑なのが、雇用保険に関する届出です。

期限
退職した日の翌日から10日以内
提出先
管轄のハローワーク

ハローワークに提出する書類は以下の通りです。

提出書類
  1. 雇用保険被保険者喪失届
  2. 雇用保険被保険者離職証明書
  3. 賃金台帳(12ヶ月分)または出勤簿(12ヶ月分)
  4. 退職届

※離職票が不要なら①のみの提出で構いません。離職票については後述します。

雇用保険被保険者喪失届」は、雇用保険の加入時に保険証に付いているものです。

キリトリ線で切り離せますので、雇用保険証から「雇用保険被保険者喪失届」を切り取って、管轄のハローワークに提出します。

上記で述べたとおり、離職票が不要ならこの書類を1枚郵送するだけで、手続きは完了です。

離職票が必要な場合は、

  • 雇用保険被保険者離職証明書
  • 賃金台帳(12ヶ月分)または出勤簿(12ヶ月分)
  • 退職届

の3点が追加で必要となります。

「賃金台帳」に規程の書式はありません。検索エンジンで「賃金台帳 エクセル」などと検索すれば、様々な書式の賃金台帳が無料で配布されていますので、それを使います。

「退職届」は、可能であれば社員に書いて提出してもらいます。自己都合退職か、会社都合退職かをわかりやすくするため、退職理由を添えて書いてもらうのがおすすめです。

「雇用保険被保険者離職証明書」については後述します。

雇用保険被保険者離職証明書を提出する時の注意点

雇用保険被保険者離職証明書」は、社員が離職票を希望する場合にのみ必要な提出書類となります。

しかし、離職票は社員が失業保険を受取る際に必要な書類となるため、大抵の場合、(社員に要不要を聞くまでもなく)会社が率先して取得し、渡してあげることをおすすめします。

しかしながら、「雇用保険被保険者離職証明書」の作成が実はとても面倒なので注意です。

ハローワークに提出する書類はすべて印刷で作成でき、郵送で提出することが可能です。

しかし、「雇用保険被保険者離職証明書」は3枚の複写式となっており、かつインターネットで書式が配布されていないため、ハローワークに取りに行く必要があります

将来的に退職者が出た場合、手続きを簡潔にするためにも、「雇用保険被保険者離職証明書」は多めに取ってきて、予備をオフィスに保管しておくことをおすすめします。

なお、返信用封筒を同封し、「雇用保険被保険者離職証明書」をハローワークから送ってもらう方法もあります。

しかし、この場合は手続きに時間がかかってしまいますので、おすすめできません。

退職者を快く送り出してあげるためにも、手続きはすばやく行うことが理想です。

ハローワークに出向いて手続きをする場合は、

  • 会社の代表者印
  • 退職者のマイナンバーの控え

も忘れずに持っていきましょう。

社会保険の手続き

年金事務所

社会保険の退職手続きは、年金事務所に「健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届」を提出することで行います。

期限
退職した日の翌日から5日以内
提出先
管轄の年金事務所
提出書類
  1. 健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届
  2. 健康保険被保険者証(本人と扶養親族の分)

※資格喪失年月日は退職日の翌日を記入すること

「健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届」には実印(代表者印)を押印します。(角印は不可)

退職した社員の保険証も合わせて提出する必要があるので、退職日に回収します。もし、有給休暇の消化などによって、退職日に社員が出社しない場合は、退職日を過ぎてからすぐに郵送してもらうよう伝えておきます。

なお、「健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届」には健康保険証の回収不可という記入欄もありますので、最悪の場合、健康保険証は回収できなくても構いません。

社会保険の手続きは比較的簡単です。

住民税の手続き

市役所

社員が住む市区町村には、給与所得異動届を提出し、住民税の手続きを行います。

期限
退職した月の翌月10日まで
提出先
退職者の住む市区町村

※会社のある市区町村ではなく、社員が住んでいる市区町村が提出先です。

提出書類
  1. 給与支払報告に係る給与所得異動届

「給与支払報告に係る給与所得異動届 ◯◯市」などと検索すると、各市区町村の書式(エクセル)などがダウンロードできます。

「給与支払報告に係る給与所得異動届」の提出が必要なのは、住民税を特別徴収(給与からの天引き)していた場合のみです。

しかし、現在は特別徴収の義務化が進められていますから、基本的には提出が必要になる書類になるかと思います。

なお、離職者の住民税の特別徴収(給料天引き)をしていなかった場合は、書類の必要は不要です。

書類提出が必要かどうかは、現時点で「住民税の徴収予定表に退職者の名前が入っているかどうか」がポイントとなります。

名前が入っていなければ、退職者の給料から住民税は天引きしていないはずですので、書類は提出しなくても構いません。

  • 入社して数ヶ月で社員が退職してしまった場合
  • 特別徴収(住民税の給与天引き)を実施していない場合

などに、このような状況が起こります。

快く社員を送り出してあげることが大切

ビジネスマンの握手

  • 雇用保険(ハローワーク)
  • 社会保険(年金事務所)
  • 住民税(社員の住む市区町村)

社員が退職する場合は、上記3つの手続きが必要です。

そして、最も大切なのは「社員を快く送り出してあげる社長の姿勢」だと私は思っています。

退職理由がどのような内容であれ、次の職場で活躍する社員を応援し、退職後も良い関係を築いていくことが、双方の気持ちの面でも、会社の評判を保つためにも大切です。

最後に、東証一部上場で歴史のある繊維会社「帝人」の、ちょっとしたエピソードを紹介します。

これは、帝人に勤めていた社員がTwitterに投稿した内容です。

帝人の元社員の方は、最後の出勤日に、社長に直接メールを送ったのですが、社長の返信内容が素晴らしいとネットで話題となっていました。

◯◯さん

1年2か月、一緒に働いていただき、ありがとうございました。
また、気がつかれた点をお送りいただき、こちらもありがとうございました。
お送りいただいた最初の2点とも、私が普段あまり気がついていない、あるいは、気がまわっていない部分でした。
すぐには動かしにくい部分もありますが、「役員名」さんと、よい方向にもってゆく術を考えたいと思います。
また、もっともっと、こういう声が、普通に皆さんから出てくる、普通に言えるような会社にしてゆきたいとも思います。
◯◯さんのチャレンジ、頑張ってください。
私は帝人でずっと育ってしまいましたが、これからは、帝人でずっと働くことだけではなく、帝人で活躍、成長していただき、ある時期からは別の道を歩むという方が増えてくると思いますし、そういう社会、会社のほうが、健全だと思っています。
また、一緒に仕事ができる日が来るのを楽しみにしておきます。

鈴木 純

編集後記

社員の退職は時として、会社に大きな損害を与えます。

多額の求人広告費を投じ、採用後には仕事に必要な道具を準備し、そして時間をかけて教育をしても、ある日突然辞めてしまうことがあります。

当然、社員には社員なりの考えや言い分はあるはずです。しかし、理由がどのような内容であれ、莫大な金銭的損失を被るのは会社側に他なりません。

事業がうまく行っていれば問題ありませんが、利益を出すのが苦しい状況では、社員の離職が致命傷になる可能性もあります。

そうした厳しい状況の中で、いかに相手の立場にたった、多様な考え方ができるかが、経営者として問われる部分でもあるのでしょう。

一方で、「サイバーエージェントの藤田社長が退職者に対して激怒した話」というものもあります。

これはこれで、経営者としてとても共感できる部分もあります。やはり社員の退職というのは、複雑な気持ちになりますよね。

私が退職希望者に「激怒」した理由  (藤田晋氏の経営者ブログ)

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最後まで読んでいただきありがとうございました

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