起業して失敗する理由はほとんど決まっている!失敗しないための3つの心得
執筆者:川原裕也 更新:
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勢いよく独立開業をしても、1年で廃業する人とそうでない人がいます。
起業はリスクが伴うことなので、満を持して事業をスタートさせる人がほとんどです。中には用意周到に準備を重ねてから独立する人も多いと思います。
しかし、何年も準備をしてから起業してもすぐに廃業するケースはありますし、逆に下準備なしで思いつきで起業したのに事業を継続している人もいます。
この差はどこにあるのか。
私が思うのは、起業して失敗する理由はほとんど決まっているということです。
起業で失敗しがちなポイントさえ押さえておけば、そうそう失敗はしません。
失敗のない起業をするために心得ておきたいこと
私が、確実に事業を軌道に乗せるために重要だと思うことは、
- 時間をかけない
- お金をかけない
- 小さくはじめる
の3つです。
これが事業を成功させるための鉄則だと思っています。
日曜起業でもよくないですか?
以前、スターバックスコーヒーで本を読んでいた時の話です。
隣に座った若者が、先輩経営者に起業の相談をしていました。
彼は現在、とある職場で勤務しているのですが、そこを退職して独立開業をしたいと考えていたようでした。
彼の気持ちとしては、起業して自分の事業に集中するために、現在の職場を退職するつもりでした。
しかし、先輩経営者のアドバイスは「別に今の職場を辞めなくても日曜起業で良くない?」という冷静なコメントでした。
本を読みながら横で話を聞いていた私も、先輩経営者の意見に賛成でした。
起業を目指している彼の中では、清水の舞台から飛び降りるつもりで、満を持して事業を起こしたいという気持ちがあったのだと思います。
事業を成功させたいという強い想いがあるからこそ、会社を辞めて事業に集中したいという気持ちがあるのはわかります。しかし、これは視野が狭くなっている可能性が高いです。
起業した結果、すぐに事業が軌道に乗れば良いのですが、大抵の場合はそう上手くはいきません。このような状況の時に、安定収入となる給与所得があれば冷静に改善策を打ち出せます。
しかし、すでに安定収入がなければ生活に支障をきたしてしまうという不安がありますので、「バクチを打ってやろう」というような起死回生による現状打破を目指してしまいがちです。
つまり冷静な判断ができずに大きな失敗を招いてしまう可能性が高くなります。
起業前からすでに顧客リストやビジネスモデルがしっかり存在しており、開業初日から一定の売上が継続して発生するのであれば、会社を退職して事業1本に絞っても良いと思います。
しかしそうでないなら、1日24時間、週7日をフルに使わなければならない仕事など、ないのではないでしょうか?
まだ仕事がないのに事業に集中しても、空回りするだけです。
であれば、まずは休日の限られた時間を使って「日曜起業」をすることから始めてみる。
「会社をやめて事業を起こした」というようなカッコよさはありませんが、週末起業はリスクを軽減した上で戦略的に事業を始められる合理的な方法です。
「週末の空いた時間から始めることはできないか?」という視点を持つことが、起業を成功させる重要なポイントの1つです。
あえて退路を断つ必要はなし。
この地味な考えが起業の成功をもたらします。
とにかくお金を使わない
起業をして事業をスタートさせるために、何らかの形でお金を作ることになります。
自己資金を貯める、金融機関から借入する、投資家から出資を受けるなど、資金調達の手段は様々です。
いずれの方法にも共通することは、開業初日から大きなお金を扱うことになるということです。
日常生活においては1,000円でも切り詰めたいという感覚は多くの人が持っています。
しかし、なぜか開業して100万円単位のお金が自由に使える状況になると、「1,000円ぐらいどうってことない」と浪費をしてしまう経営者が多いです。
一生懸命ためたお金、人から借りた大切なお金。これらを湯水のように使ってしまう人がどれほど多いか・・・
浪費と言っても毎晩飲み歩いたりということではありません。
買わなくて良いものを買ったり、派手に事務所を構えたり、従業員を一気に雇ったり。
一見必要に思えるけど、よく考えると必須というわけではないものにお金を使ってしまう人は、大抵すぐに失敗します。いずれも、「事業を急成長させたい」という思いからくるものです。
これらは「起業=カッコイイ」と思っている人にありがちな行動です。しかし、真実は「起業は地味で泥臭いもの。」こう思っているくらいがちょうど良いのです。
Twitterで見つけた発言ですが、私もこの意見に同意です。
うさみのりや @zettonu · 5月15日
起業しようとする友人が見事にお金の使いどころを間違えていて、またそれが自分と同じような間違え方で、人間は似たような間違いを犯すのだと感じた。「とにかく人と賃料に金使うな、固定費を最大限削減しろ、資本金はアセットに使え」と説教しといた。
人件費や事務所の賃料はとにかく重い固定費になります。あとは、先輩起業家にそそのかされてコンサルティング料を支払ってしまう人とか。。。
パソコンやプリンター、会計ソフトなど必要最小限の設備は必要ですが、それ以外の継続的に費用がかかる「固定費」はできる限り小さくすべきです。
中でも、人にかかる固定費(外注も含めた人件費)は、特に重く、一度発生させると削るのが難しい、やっかいなものです。
必要不可欠なコストであれば仕方ありませんが、できることなら社員を雇う代わりに、必要なときだけ単発で働いてくれる人を見つける。月額固定で外注契約を結ばず、作業に応じてその都度費用を支払う。
といったように、できる限り「人にかかる費用の変動費化」をしておくことは、私の経験からも重要なことだと感じます。
究極の商売は「固定費ゼロ」
この言葉を覚えておいてください。
小さく始める
起業して事業を急拡大しようと前のめりになって失敗する事例をよく耳にします。
例えば、「都内の一等地に飲食店を出店するために2,000万円の開業資金がいる。」と言った具合。
本人の中では「都内の一等地に自分の飲食店を出せば確実に成功できる」という考えがあるわけですが、「もし上手くいかなかったらどうするの?」という失敗を想定したプランは全く考えられていません。
前述しましたが「とにかくお金は使わない」を徹底し、小さく始められるように工夫することが大切です。
「大きなお金をかけて都内の一等地に出店したは良いものの、数十万円の売上しか立たなかった」というようなバカみたいな失敗例が事業にはたくさんあります。
いずれも、本人の「成功見込み」と社会的な認識のズレから生じる失敗です。
どれだけ勉強しても、初めて起業する未経験の事業家は素人同然なわけですから、自分が思う「成功見込み」をあてにしてはいけません。
失敗するという前提で小さくスタートする。
最初は売上が毎月3万円でも良いんです。大切なのは売上3万円でも黒字になっているかどうか。
黒字になっているということは、事業がうまく回っている証拠ですから、そこから売上を拡大するための施策を考えていけばよいのです。
一定の売上を立てることよりも、まずは事業が回る仕組みづくり、黒字が出せる仕組みなのかどうかの検証をする。
これが確実に事業を軌道に乗せるカギです。
小さくスタートして少しずつ大きくした方が、損益分岐点が低くなるので長期的に見ても高い利益率を確保しやすいと思います。
また、会社を辞めて起業するよりも、週末起業からスタートした方が小さく始められる(会社を辞めてしまうと1ヶ月目から生活費相当分は稼げないと話にならない)ので、ここでも週末起業の大切さを述べておきます。
失敗はわかっていてもやってしまいがち
今回紹介した3つのポイントはいずれも基本的なことばかりですが、わかっていてもやってしまいがちです。
私自身、事業をスタートしてもう何年にもなりますが、新規事業をやる時に上記を守ることができずに失敗してしまうことがあります。
上記の3つの基本はそれくらい、事業家が犯してしまいがちな失敗だと思います。
幸いにも、すでにいくつかの事業がある上での失敗なら、会社全体が廃業に追い込まれることはありません。
しかし、独立開業の最初の一発目で失敗してしまうと、場合によっては人生に大きな穴を開けてしまうことになりかねません。
とある金融機関の人に聞いた話なのですが、「開業資金で300万円ほど借りて1年で廃業し、一瞬にして300万円の借金を背負う」という起業家が毎年何人もいるそうです。
今回紹介した内容を頭にいれておけば、そういった事態には陥りにくいと思います。
お金も時間もかけずに小さく始める。
起業前はもちろん、事業が軌道に乗ってからもこれを忘れずに着実に事業を成長させてくださいね。
次の記事は「起業塾に入る前に知ってほしい5つの真実」です。
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