やよいの青色申告オンラインとデスクトップ版の違い、確定申告ではどちらを選べば良い?
執筆者:川原裕也 更新:
※記事内に広告を含む場合があります
確定申告ソフト・会計ソフトの業界大手「弥生株式会社」は、「やよいの青色申告」で知られています。
やよいの青色申告は、はじめて確定申告を行う個人や個人事業主でも簡単に操作でき、仕訳作業、決算書の作成、そして確定申告書Bの作成が行えます。
私自身も個人事業主時代には、やよいの青色申告 デスクトップ版にたいへんお世話になりました。
しかし現在の確定申告ソフトは「クラウド会計(オンライン版)」が主流となりつつあり、多くの個人事業主は「やよいの青色申告オンライン」を使っています。
この記事では、「やよいの青色申告オンライン」とデスクトップ版である「やよいの青色申告 24 +クラウド」の違いを比較します。
また、個人事業主時代に「やよいの青色申告 デスクトップ版」を使っていた、私自身の感想も踏まえながら解説を行います。
目次
無知識でも確定申告できる
青色申告ソフトを導入する最大のメリットは「無知識でも確定申告ができる」ことにあります。
私が個人事業主だったころ、1年目はまったくの無知識、2年目は簿記3級を取得した状態で青色申告を行いました。
2年目の自分からすると、1年目の確定申告の内容はあまりに「雑」で目も当てられない状態でしたが、まったく知識のなかった私でも、やよいの青色申告 デスクトップ版を使うことで、無事に青色申告を終えることができました。
たまに、確定申告ソフトを導入せずに「エクセルでやっている」という方もいます。
しかし、ミスを防ぐことや、業務効率化の観点からも、青色申告ソフトの導入は「必要経費」と割り切った方がよいと私は思います。
当時「オンライン版の青色申告ソフト」はまだ登場していませんでした。
しかし現在は、「やよいの青色申告」もオンライン版に進化し、さらに使いやすくなっています。
取引データの自動仕訳で入力不要
やよいの青色申告オンラインが持つ最大のメリットは、
- 銀行の取引明細(ネットバンキング)
- クレジットカード・電子マネーの利用明細
などのデータを自動的に取り込んで記帳できることです。
YAYOI SMART CONNECT(やよいスマートコネクト)と連携することで、取引明細を自動的に青色申告ソフトに反映することが可能です。
- 家計簿アプリ
- マネーツリー・Zaim
- 請求書サービス
- Misoca(ミソカ)・Make Leaps
- POSレジアプリ
- AirREGI(エアレジ)・スマレジ・ユビレジ・Uレジ
- 経費精算アプリ
- STREAMED・ScanSnap Cloud・弥生 レシート取込
※対応アプリは順次拡大中です。
たとえば、家計簿アプリと連携したデータ、請求書作成アプリで発行した請求書データ、POSレジアプリの取引明細など。
こうしたデータを、自動的にやよいの青色申告オンラインに取り込むことができます。
銀行の取引明細や、クレジットカードの明細を1件ずつ手動で入力するのはあまりに面倒です。
また、手動入力では数字の入力ミスが発生しやすいです。
たとえば「クレジットカードの利用額と、引落金額が一致しない」という問題もよく起こります(個人事業主だったころ、私はこの問題によく悩まされていました)。
やよいの青色申告オンラインであれば、仕訳の知識がなくても、ほぼ自動的に帳簿にデータを反映できます。
金額の入力ミスがなく、何百件、何千件の仕訳もあっという間に終わります。
YAYOI SMART CONNECTによる自動仕訳には、AIエンジンを搭載した学習機能があります。使い続けるほど、その精度が高まり、より賢く使いやすい機能へと進化するのが特徴です。
やよいの青色申告オンラインを使うことで、電子取引データはほぼ自動的に仕訳が行えます。
現金取引は手動で仕訳しなくてはなりませんが、「弥生 レシート取込」を使うことで、レシートの内訳・金額を読み取って電子データとして取り込むこともできます。
なお、自動仕訳機能は最新版の「やよいの青色申告 24 +クラウド」にも搭載されています。
Macユーザーはオンライン版で決まり
「やよいの青色申告オンライン」と「やよいの青色申告 24 +クラウド」の大きな違いに、Macへの対応があります。
残念ながら、「やよいの青色申告 24 +クラウド」はWindows専用ですので、Macをお使いの方は導入できません。
また、Windows PCへのインストール台数も2台までに制限されています。
3台以上のPCをお使いの方や、PCがクラッシュしたときに再インストールするのが面倒だと感じる方には不向きです。
一方、「やよいの青色申告オンライン」は、ChromeやEdge、Firefoxといったブラウザで操作しますので、Windows・Macどちらでも使えます。また、タブレットでも利用可能です。
インストールが不要なので、台数制限もありません。
ID・パスワードを使ってログインするため、複数のWindows・Mac・タブレットを使い分けている方でも使いやすいです。
Macをメインで使っている方は「やよいの青色申告オンライン」で決まりです。
もう一つの隠れた違いとして、
- デスクトップ版:ネット環境がなくても使える
- オンライン版:ネット環境がなければ使えない
という点があげられます。
インターネットに接続されていない環境で確定申告ソフトを操作する機会が多い方は、デスクトップ版をおすすめします。
データ消失の心配はないのか?
オンライン版を使うにあたり「大切な会計データが消失してしまう危険性」を心配する自営業の方も多いと思います。
しかしこの点は、オンライン版・デスクトップ版ともに大きなデメリットはありません。
結論から言うと、データの消失・バックアップ体制を気にする方は「やよいの青色申告オンライン」の選択がおすすめです。
やよいの青色申告オンラインのバックアップ体制
やよいの青色申告オンラインでは、確定申告ソフトのデータはすべて、ネット上(データセンター)に保存されます。
私たちのPC内にはデータを保存しませんので、PCの盗難や事務所の火災などの際にもデータが消えてしまうことはありません。
弥生では、マイクロソフト社のクラウドサービス「Azure」を採用し、セキュリティエンジニアで構成される専門チームが、24時間365日体制で運用しています。
データセンターで管理される私たちの会計データはすべて暗号化され、日々自動的にバックアップが行われています。
もし、どうしてもデータ消失が心配な場合は、自身のPCに会計データをダウンロード(エクスポート)することもできるので安心です。
やよいの青色申告 24 +クラウドのバックアップ体制
「やよいの青色申告 24 +クラウド」では、クラウドに取引データをバックアップ保存します。
私自身、過去に何度も経験があるのですが、自分のPCがクラッシュしてしまうと、帳簿データはすべて消失してしまいます。
こうした問題に対処するため、弥生では「あんしん保守サポート(有料)」に加入しているユーザー向けに、容量2GBのオンラインストレージ「弥生ドライブ」を提供しています。
「やよいの青色申告 24 +クラウド」と「弥生ドライブ」は接続することができ、数クリックで確定申告ソフトのデータをオンラインストレージにバックアップできます。
あらかじめ設定しておくことで、自動バックアップにも対応します。
もし、自分のPCがクラッシュしてしまっても、弥生ドライブにバックアップを保存しておけば、すぐにデータの復旧が可能です。
弥生ドライブは、有料サービス「あんしん保守サポート」へ加入している方しか使えません。
スマホで取引入力
無料のiPhone・Androidアプリを使って、スマホで取引入力できるのも、「やよいの青色申告オンライン」ならではの強みです。
たとえば、取引先との打ち合わせで1杯のコーヒーを飲んだとき、ちょっとした合間にスマホから、コーヒー代を入力することができます。
スマホで入力した取引データは、「やよいの青色申告オンライン」に取り込まれますので、帰宅後に自宅やタブレットで閲覧したときにはすでに、そのデータは同期されています。
デスクトップ版にはスマホからの取引入力機能はありません。
常に、PC(Windows)の前で取引データを入力しなくてはなりません。
どこからでも取引入力ができ、どこからでも最新のデータが閲覧できるのは、オンライン版ならではのメリットです。
料金の比較
▼やよいの青色申告オンラインの料金
- セルフプラン:年額11,330円(1年目は完全無料)
- やよいの青色申告オンラインのすべての機能が使えます。
- ベーシックプラン:年額18,975円(1年目は完全無料)
- セルフプランに電話・メール・チャットサポートを加えたプラン。
- トータルプラン:年額33,000円(1年目は16,500円)
- ベーシックプランに確定申告・仕訳・経理業務の相談サポートを加えたプラン。
※税込です。
▼やよいの青色申告 24 +クラウドの料金(「あんしん保守サポート」付き価格)
- セルフプラン:15,400円
- やよいの青色申告 24 +クラウドのすべての機能が使えます。
- ベーシックプラン:15,400円
- セルフプランに電話・メールサポートを加えたプラン。
- トータルプラン:31,900円
- ベーシックプランに確定申告・仕訳・経理業務の相談サポートを加えたプラン。
※税込です。
「あんしん保守サポート」に登録すると無償で最新版にアップグレードできます。
「あんしん保守サポート」プラン別価格
- セルフプラン:1年間無料
- ベーシックプラン:特別価格0円
- トータルプラン:年額16,500円
※税込です。
※1年目の「あんしん保守サポート料」は購入価格に含まれます。
やよいの青色申告オンラインは1年ごとの継続課金です(最初の1年は完全無料で使えます)。
しかし、継続的なアップデートが行われるオンライン版は、追加費用なしで常に最新版が使えます。
たとえば、元号が「平成」から「令和」に変わった場合、消費税が増税された場合、消費税の軽減税率への対応、その他の税制が変わった場合など。
やよいの青色申告オンラインなら、こうした変更に自動対応することが可能です。
一方、やよいの青色申告 24 +クラウドは「買い切り」ですので、一度購入すると追加の費用はかかりません。
別途、有料サービス「あんしん保守サポート」に加入することで、最新のデスクトップ版へと無償アップグレードすることも可能です。
あんしん保守プランへの加入は任意ですが、デスクトップ版を使っていると、税制改正の際、自分自身で設定を変更したり、場合によってはソフトの変更で対応できず、有償での買い替えが必要になることもあります。
設定変更には専門知識が必要ですし、最新の税制を自分自身で追わなくてはなりません。
こうした「手間」の部分を考慮すると、やはり多くの個人事業主が選んでいるように、「オンライン版」を選択する方がメリットが大きいと思います。
ソフトの使い方や経理に関する相談など、手厚いサポートを必要とする方は、ベーシックプラン以上がおすすめです。
0件のコメント