開業まもない事業者が資金調達先として検討できる5つの窓口
執筆者:川原裕也 更新:
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事業を起こすにはお金が必要。
開業資金を調達するにはどうすればよいか、これは事業をスタートする時、真っ先に立ちはだかる問題です。
もちろん、開業のために貯金をしっかりと行うだけでなく、知り合いや親戚からお金を借りたり、開業にあたって出資を募るというのが、一般的な方法です。
しかし、開業間もない事業者でも融資による資金調達は可能です。
目次
開業資金の調達先として考えられる5つの窓口
今回は、開業資金が調達できる4つの窓口と、ベンチャーキャピタルによる資金調達を紹介します。
日本政策金融公庫
開業資金の調達で一番最初に相談したいのが、日本政策金融公庫です。
私も日本政策金融公庫での資金調達を行ったことがありますが、その時の担当者は「政府系ということで貸すのが仕事、創業融資なども積極的に行っている」と言っていました。
しっかりとした事業計画書が作成されていることや、一定の諸条件はありますが、日本政策金融公庫には「新規開業資金(新企業育成貸付)」という、開業のための融資制度があります。
日本政策金融公庫 国民生活事業では、「新規開業資金(新企業育成貸付)」などのご融資を通じて、新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方のお手伝いをさせていただいております。
借入条件は審査によって異なりますが、融資限度額は
- 設備資金 最大7,200万円(返済期間は最大20年)
- 運転資金 最大4,800万円(返済期間は最大7年)
となっているので、ボリュームとしては十分でしょう。
日本政策金融公庫は固定金利かつ低金利での調達ができるため、キャッシュフローが安定しやすく、返済計画も立てやすいのがメリットです。
個人的には非常におすすめの借入先です。
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地方銀行や信用金庫の保証協会付き融資
中小企業や個人事業主が地方銀行や信用金庫とお付き合いをするのは、資金調達の融通が聞くからです。
両者のイメージとしては、地方銀行はより低金利の融資が受けられるが審査は厳しめ、信用金庫は金利が高めな分、より融資を引き出しやすいという感じです。
しかしながら、地銀も信用金庫も開業資金をプロパー融資(銀行による直接融資)で調達するのは極めて難しいと思います。(中には開業資金や創業資金を融資している金融機関もあると聞きます)
よって、いずれの金融機関でも最初は「保証協会付き融資」を受けることになります。保証協会付き融資は信用保証料がかかる分、銀行側のリスクが抑えられるため、融資を引きやすいです。
まずは地元の地方銀行や信用金庫に相談に行き、開業資金を融資してくれる制度があるかどうか聞いてみてください。条件に見合うものがあれば紹介してもらえます。
メガバンクや都市銀行はATMや支店の数が多いので口座は作っておいて損はありません。しかし、融資に関してはまず相手にしてくれませんので、資金調達先としてはおすすめしません。
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地方自治体や商工会議所の制度融資
保証協会付き融資にも審査があります。
もし、金融機関から「保証協会付き融資も難しい」と言われてしまったら地方自治体や商工会議所に問い合わせてみましょう。
地方自治体は地域活性化の一環として、様々な制度融資を扱っています。また、商工会議所も数多くの制度融資を用意しています。
特に商工会議所は事業計画や創業時のアドバイスも行ってくれるので、事業計画書を持って相談に行くのも良いと思います。
地方自治体や商工会議所が自ら融資を行うのではなく、彼らが行うのは銀行や日本政策金融公庫とのパイプ役です。
銀行や日本政策金融公庫側の審査もありますが、基本的には地方自治体や商工会議所が用意している制度融資の審査に通れば、金融機関は融資してくれます。
金融機関に直接出向くのではなく、間に地方自治体や商工会議所を挟むことによって、融資のハードルが下がったり、より低金利で資金調達できることがあります。
いずれの場合も相談するだけなら無料です。積極的に話を聞きつつ担当者から知識を吸収するだけでもメリットはあると思います。
クラウドファンディング
最近のトレンドとして、多くの人から少しずつお金を集める「クラウドファンディング」が流行っています。
クラウドファンディングには「寄付型」と「融資型」の2つがあります。
寄付型のクラウドファンディング
「良い事業を応援したい」と考える人からお金を集める手段です。
集めたお金は基本的に返さなくても良いのですが、事業が実現した際には応援してくれた人に自社製品をプレゼントしたり、サイト上に応援者の名前をクレジットするといった返礼が必要です。
わかりやすく言うと、お金を返さない分、事業の社会的価値と支援者への見返りを提示し共感が得られるかという点に尽きます。
代表的なサイトとして、世界的に有名なKickstarter(キックスターター)、国内ではCAMPFIRE(キャンプファイヤー)やREADYFOR(レディーフォー)などがあります。
融資型のクラウドファンディング
「資金を投資して運用利回りを得たい」と考える個人投資家からお金を集める方法です。
融資型クラウドファンディングは、投資家から5%~7%程度の利回りが要求され、クラウドファンディング運営事業者の手数料が2%程度かかるため、調達コストは高めです。
また、審査も必要となるため創業資金の調達は難しいかもしれません。
社会的価値のある事業をしたい場合は、寄付型クラウドファンディングで事業を提案してみるのも良いと思います。
しかし、融資型クラウドファンディングで創業資金を調達したという話は聞いたことがありません。金利もハードルも高いことを考えると、一般的ではないと思います。
ベンチャーキャピタル
将来的に上場を目指したいが、革新的なアイデアなので誰からも理解が得られない。
そういった本気度の高い事業者をサポートしてくれるのがベンチャーキャピタルです。
日本政策金融公庫、銀行、地方自治体どこをとっても最新の技術に精通している人は少ないです。よって、これまでになかったビジネスモデルや奇抜な事業計画は理解されにくいという事実があります。
しかし現代はFacebookのような学生が作った小さなサイトが世界を変える時代です。一人でもあなたのビジネスに理解を示し資金が集まれば、挑戦することができます。
ベンチャーキャピタルは最新技術、最新のビジネスモデルに精通しており、そうした技術やビジネスモデルを持つ企業を探しています。
金融機関に比べてハードルは高いですが、自分のビジネスに自信があるならアイデアを持ち込むだけの価値はあると思います。
ただし、ベンチャーキャピタルは「出資」による資金提供が普通です。創業者以外の株主が増えることになるため、上場やバイアウトなど何らかの出口戦略が求められることになります。
また、事業が上手く行かない場合は、ベンチャーキャピタル自身に事業方針を決められたり、事業運営をコントロールされる可能性があることも忘れてはなりません。
借入前の事業計画を立てるヒント
どうしても資金が必要な場合は創業資金を借りるべきですが、お金がないなら「同じことをコストを抑えて実現できないか?」を考えるのが一番良いように思います。
これは私の意見ですが、限られた資源の中で最大の結果を出す努力をしたほうが上手く行くので、お金がないなら小さく始めてみることも検討してみてください。
人は得てして、創業時の予算を大きく見積もってしまったり、お金さえあればなんとかなると必要以上の資金を求めてしまいがちです。
しかし、本当に競争力のある事業価値は、常に「アイデア」から生まれるものです。脳に汗をかくことは、お金を集めることよりも優先されるべきだと私は考えます。
その他、カードローンやビジネスローンを活用する資金調達手段もあります。しかし、これらはいずれも創業時の借入は難しいというのと、金利が高いので今回は除外しました。
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