Evernoteのわかりやすい使い方と活用法 名刺管理やメモアプリで使いこなす
執筆者:川原裕也 更新:
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Evernote(エバーノート)は、自由度の高いメモ帳アプリです。
テキストはもちろん、手書きや音声メモにも対応しています。また、画像やあらゆるファイルをメモ帳に添付できます。
すべてのファイル・情報を放り込み、あとは「強力な検索機能」を使うことで、必要な情報をすぐに取り出せるのがEvernoteのメリットです。
また、ノートブック分け・タグ機能などさまざまな分類方法があり、ノート数が膨大になってもきれいに整理することが可能です。
Evernoteとよく比較されるのは、マイクロソフトが提供する「OneNote」、そしてグーグルが提供する「Google Keep」です。
この記事では、Evernoteのヘビーユーザーである私が、おすすめの使い方をわかりやすく解説するとともに、競合サービスとの比較も行います。
目次
あらゆる情報が詰め込めるノート
Evernoteは「第2の脳」をコンセプトに開発されたツールです。
ビジネスや日常生活で記憶しておかなければならない情報を、すべてEvernoteに記憶させることで、第1の脳(自分の脳)でよりクリエイティブなことを考えられます。
第2の脳であるEvernoteに記録された情報は、(自分で削除しない限り)決して忘れることはありません。
たとえば、今晩の食材に使う「お買い物リスト」をEvernoteにメモしておけば、「何を買えばよいのか?」を自分で覚えておく必要はなくなります。
Evenoteにはリマインダー機能が用意されているので、お店に到着したタイミングや、設定した時間になると、「お買い物リストを見る」ことを通知してくれます。
もちろん、ただのメモだけでなく、画像、ファイル、音声、手書きノートなど「すべてを記憶する魔法のノート」なのです。
Evernote(エバーノート)は、通常のメモ帳アプリとしても使えます。
メモ帳のテキストでは、色を変えたり、ハイライト(マーカー)をしたり、フォントを変えることもできます。
そのほか、テーブル表を作成したり、チェックボックスの作成もできるので、「自分の作りたい形式」でメモを作れます。
WEB記事のスクラップが簡単
Evernoteの強力な機能の一つ「WEBクリッパー」は、WEB上の記事を簡単にスクラップできる機能です。
たとえば、ニュース記事や、情報収集の際に気になったページを丸ごとスクラップして、Evernoteに取り込めます。
取り込んだ情報は、Evernoteで全文検索できるほか、タグ機能などを使い、自分で分類することも可能です。
ニュース記事の内容を覚えていなくても、Evernoteに取り込んでおけば、その数が何千・何万という単位になっても、検索機能ですぐに取り出せます。
スクラップしたWEB記事には、自分のコメントを添えることや、あとから編集を加えて必要な部分だけを残すこともできます。
また、くわしくは後述しますが「WEB記事だけでなく、紙の新聞やチラシなどをクリップすることもできる」のが、Evernoteが多くの人に支持される理由です。
もちろん、紙面の内容も全文検索できます。
スキャン機能で名刺管理
Evernoteには「スキャン機能」がついています。
Evernoteのスマホアプリを立ち上げ、スキャン機能を選択すると、スマホのカメラが高精度なスキャナとして使えます。
スキャン機能で取り込みやすいものとしては、
- 名刺
- 紙の新聞・雑誌など
- ホワイトボードに手書きで書かれている内容
- 手書きのノート
- レシート
などがあります。
これらをスマホのカメラでパシャパシャと撮影していくだけで、スキャンは完了します。
Evernoteには強力なOCR機能がついています。
画像内の文字を読み取り、テキストとして認識できるようにする機能。
たとえば、「ホワイトボードに手書きで書かれている文字」でも、撮影した画像をOCR処理することで、テキスト検索できるようになる。
スキャン機能で取り込んだ画像は自動的にOCRが施され、Evernoteで全文検索できます。
言い換えると、名刺をEvernoteに取り込んでおくだけで、社名や名前、電話番号などで名刺の検索ができるようになるのです。
バスの時刻表などをスマホのカメラでスキャンしておくと便利です。
WEBの情報でも、現実世界の情報でも、そこに文字があればすべて検索対象にできるのが、Evernoteのメリットです。
無料プランでも、画像内のテキスト認識機能は提供されています。
スキャン機能を使って、名刺を撮影し、OCR処理によってテキスト検索することが可能です。
しかし、Professionalプランでは、名刺をより簡単に取り込める「名刺スキャン機能(名刺をスキャンしてデジタル化)」が使えます。
名刺スキャン機能を使うと、名刺に書かれている情報をより正確に、Evernoteにテキストデータとして取り込めます。
また、取り込んだデータをそのまま連絡帳に登録できるので、大量の名刺の連絡先を登録したい場合にも便利です。
音声・手書きメモの作成
私自身はあまり使っていないのですが、愛用者が多い機能が「音声メモ・手書きメモ」です。
音声メモ・手書きメモともに、Evernoteの標準機能として使えます。
「音声メモ」は気になるアイデアや会議の打ち合わせ内容などを録音しておき、オーディオファイルをEvernoteに取り込む機能です。
録音ボタンを押して話すだけなので、ササッとアイデアを記録しておきたいときに向いています。
一方、「手書きメモ」はPCならタッチペンやマウス、スマホなら指で自由に手書きのメモを作成できる機能です。
手書きメモで作成した内容は、前述のOCR(画像内のテキストを読み取る機能)の対象となり、検索ができます(あまりに下手な文字は認識できませんが…)。
もちろん、EvernoteにはPDFやエクセル・ワードなどのファイルも添付できます。
Professionalプランなら、これらのファイルの中身まで検索対象にできます。
メモ帳は端末間で同期
Evernoteで作成したメモや、添付したファイルは「クラウド上(データセンター)」に保存されます。
また、EvernoteはWindows・Mac・iPhone・Androidなどのあらゆる端末でアプリを提供しており、作成したメモ帳は端末間で同期します。
つまり、自宅のPCで作成した「お買い物リスト」を、スマホのEvernoteアプリでチェックすることができます。
また、Evernoteスマホアプリのスキャン機能で取り込んだ名刺を、会社のPCのEvernoteで検索することも可能です。
余談ですが、EvernoteはGoogle Cloud Platform(GCP)という、Googleのクラウドサービスで運用されています。
GCPでは、機密性・堅牢性ともに世界最高クラスとなるGoogleのデータセンターに情報を保管しますので、大切なデータやメモ情報も、安心してEvernoteに預けることができます。
また、Evernoteはすべての情報をローカル(PC内)にダウンロードする仕組みを採用しているため、万が一、データセンターの情報が消失しても、過去に作成したメモが失われることはありません。
Evernoteの分類・整理の仕方
Evernoteを使う上で、押さえておきたいキーワードをまとめます。
- ノートブック
- 1冊のノートに相当します。「仕事ノート」「日記」「アイデア」のように自由に分類できます。
- スタック
- 1冊のノートを入れ子(グループ化)にできる機能です。「仕事ノート」の中に「店舗事業ノート」「WEB事業ノート」を作るイメージです。
- タグ
- タグは1つのノートに複数設定できます。ノートブック間やスタックに関係なく設定できるのがポイントです。たとえば「重要度5」というタグを設定しておくと、重要度の高いものだけを検索しやすくなります。
- ノート
- ノートブックの1ページに相当します。1つのノートには、複数のタグを任意で設定できます。
なお、Evernoteのノート数の上限は現在「10万ノート」となっています。
何年も前からEvernoteを頻繁に使っている私でも、まだ1万ノート前後しか作成していない状況です。通常の利用であれば上限を気にする必要はないと思います。
Evernoteの分類方法は自由です。
自由度が高すぎるために、どのように分類・整理して良いかわからないという方も多いようです。
ここでは一例として、Evernoteを5年以上使い続けている、私なりの分類方法を紹介します。
ノートブックの数を最小限にする
私なりのEvernoteの整理法を一言で言うと、「タグ機能をフル活用し、ノートブック数を最小限に抑え、検索機能で欲しい情報を取り出す」となります。
よって、私はノートブックの数を最小限にしています(最小限といっても20ノートほどありますが…)。
また、スタック機能は使っていません。
スタックを解除する場合は、スタックされているノートを「ノートブック」という場所に移動させます。
ノートブックの命名規則として徹底しているのは「番号をつけること」です。
例:「仕事ノート」 → 「003 仕事ノート」
3桁の番号を入力し、半角スペースで区切ってノート名を入力する。
ノートブックの名前の頭に番号をつけておくとで、ノートブックの順番を自由に変更できるメリットがあります。
Evernoteでは、ノートブックの順番を指定することができません。
しかし、最初に数字を振っておくことで、数字の順番に並べることができるので、ノートブックの順番を入れ替えたいときは、数字を変更します。
inboxとアーカイブを作る
Evernoteの分類方法として、私がおすすめするのは「000 inbox」と「001 アーカイブ」という名前のノートブックを作成しておくことです。
inboxは「とりあえず一時的に入れておく箱」を意味し、可能な限りinboxのノート数がゼロになるようにします。
inboxを一時的な置き場所とし、その後はほかのノートブックに移動させます。
未分類のノートはすべて「アーカイブ」に放り込みます。
WEBクリッパーや新聞のスクラップ、イベント等で配布された資料などは、数が膨大になる可能性が高いので、検索で取り出すようにします。
検索しやすくするために、WEBクリッパーで記事を取り込む時は、「選択範囲の取り込み」がおすすめです。
あらかじめ、取り込みたい部分を選択してからWEBクリップを行います。
この方法でWEBクリップをするだけで、余計な部分を取り込まずに済むため、検索の精度が格段に上がります。
私の場合、「アーカイブ」に放り込まれているノート数が全体の約8割になっています。
ここまでの分類方法をまとめると、Evernoteのノートブックは、
- inbox(一時的な保管場所)
- アーカイブ(なんでも投げ入れることができる場所)
- その他の少数のノートブック
という3種類のカテゴリに整理できます。
自由にタグ付けする
Evernoteには「タグ」機能があります。
タグは、1つのノートに複数設定できるほか、ノートブックの種類に関係なく付けることができます。
タグの設定方法にルールはありません。自分が思いついたものを適当に付けておきます。どれだけ新しいタグを作成しても、1つのノートにどれだけタグ付けを行っても構いません。
たとえば、「重要度5」とか「ニュース」とか「用語」といったタグを設定しています。
必要な情報を検索で取り出す
タグ付けを除き、特に細かいことは気にせず分類していても、Evernoteでは「検索機能」によって欲しい情報にすぐたどり着けます。
すべてのノートを検索対象にすることもできますし、特定のノートブックだけを検索対象にすることも可能です。
また、検索オプションを設定することで、より素早く目的の情報にアクセスできます。
検索オプションを押さえておくと、かなり役立ちます。
- tag:用語
- 「用語」というタグが付いたノートだけを検索対象にする
- -tag:用語
- 頭に「-」を付けると、「用語」というタグが付いていないノートだけを検索対象にできる
- notebook:仕事ノート
- ノートブック名「仕事ノート」内のノートだけを検索対象にする
- intitle:日経平均
- ノートのタイトルに「日経平均」が含まれているノートを検索する。ノート内の本文を検索対象から除外できる
たとえば、「notebook:仕事ノート tag:重要度5 intitle:日経平均」とEvernoteの検索窓に入力します。
この場合、「仕事ノート内でタイトルに日経平均が含まれる、重要度5のタグが付けられたノート」が検索結果としてヒットします。
検索オプションはこのほかにも数多く存在します。
くわしくは、Evernote公式サイトの「高度な検索構文の使い方」をご覧ください。
また、よく利用する検索条件は保存することも可能です。
「tag:」という検索文を保存しておけば、構文を覚えなくても、「保存した検索条件」からすぐに構文を入力することができます。
Evernoteが持つ高度な検索機能をフル活用する。そのための補助策としてタグ付けを行う。
これが、私なりのEvernoteの分類・整理方法です。
もう5年以上Evernoteを使っていますが、この方法で欲しい情報にたどり着けなかったことは、これまで一度もありません。
私がOneNoteやGoogle Keepに乗り換えなかった理由
Evernoteの競合サービスとして、マイクロソフトのOneNoteやGoogle Keepなどがあります。
過去に乗り換えを検討し、OneNoteやGoogle Keepを試したこともあったのですが、結局はEvernoteを使い続けています。
私が乗り換えをせず、Evernoteを使い続けている理由はいくつかあります。
OneNoteのデメリット
OneNoteはEvernoteと比べて、分類方法が異なります。
ノート分類の構造がしっかりしているため、カテゴリ分けをきっちりしたい方におすすめです。
私がこれまで行ってきた(タグ付け+検索重視の)分類方法とは大きく異なるため、試しにデータを移行して使ってみても、使いにくいという印象を受けました。
また、私がOneNoteに乗り換えなかったもう一つの理由は「同期の遅さとわかりにくさ」です。
Evernoteに比べて、OneNoteは同期スピードが遅めです。
また、クラウド上だけに置いておくノートブックと、端末にダウンロードするノートブックが選択できるため、実際には存在していても非表示になっているノートブックが出てきます。
これも、OneNoteがわかりにくいと感じた理由の一つです。
致命的だったのは、「OneNoteの検索の弱さ」です。OneNoteは日本語の検索精度が悪く、検索窓にキーワードを正しく入力しても、ノートがヒットしない場合があります。
また、全角英字のテキストを半角英字で検索した場合も、Evernoteであれば正しくヒットしますが、OneNoteの検索ではヒットしませんでした。
なお、OneNoteは公式に、Evernoteからのデータ移行ツールを提供しています。
OneNoteを試してみたい方は、こちらのインポートツールを使うことで、Evernoteから簡単にデータを移行できます。
Evernote から OneNote に移動
Google Keepのデメリット
Google Keepは、タグ付けができ、データの同期も高速です。
検索エンジン大手の「Google」の検索機能が使えるのも大きなメリットです。
しかし、Google Keepは「簡易的なメモ帳」という位置づけなので、エクセルやワードなどのファイル添付ができません。
また、テキストの文字サイズやカラーを変更できないのは、私にとって大きなマイナス点でした。
致命的だったのは、Google Keepでは画像の添付位置を任意で設定できなかったことです。
Evernoteの場合、「本文 → 本文の途中に画像 → 本文」のような、「本文途中の画像添付」ができます。テキストも画像もファイルも、うまくごちゃ混ぜにして1つのメモ帳を作れるのが、Evernoteの魅力です。
しかし、Google Keepでは、複数枚の画像を添付すると、それらがすべてまとまって配置されてしまいます。
また、Google KeepのWEBクリッパーではページ内の「テキストのみ」または「特定の画像のみ」しか取り込むことができません。Evernoteであれば、ページ内のテキストと画像を丸ごと取得できます。
Google KeepもOneNoteも無料で利用できるので、気になる方は一度使ってみて、自分に見合うツールを選択するのが良いと思います。
Evernoteの料金プラン
Evernoteは無料で使えます。
しかし、度重なるサービスの改定によって、現在は「本格的に利用するためには、有料プランへのアップグレードが不可欠」となってしまいました(私も有料プランを使っています)。
Professionalプランは、年額12,400円(月払いなら1,550円)です。
この値段でEvernoteのすべての機能が使えるので、個人的には安いと思っています。
- Free
- 無料プラン。サービス内容に制限あり
- Personal
- 月払い1,100円、年額9,300円 プライベートの管理や家族への予定共有など。
- Professional
- 月払い1,550円、年額12,400円 Personalプランの全機能、Adobe Acrobat Standardが20%引き。
- Teams
- 月払い2,100円/1ユーザー、年額21,000円/1ユーザー 共有と共同作業向け。
※税込。
では、無料プランの場合どのような制限があるのか。
簡単にまとめてみると、無料プランでは
- 月間60MBまでしかアップロードできない
- 2台の端末にしか同期できない
- PDFやエクセル・ワードファイルのファイル内の検索ができない
といったデメリットがあります。
無料でも使えないことはないのですが、「2台の端末にしか同期できない」という点が無料ユーザーにとってストレスとなっているようです。
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