クレジットカード支払いの仕訳方法はどうやる?未払金、未払費用、買掛金の違いも解説
執筆者:川原裕也 更新:
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事業を営んでいると、さまざまな経費が発生します。
以前は、現金や銀行振込で経費を支払うことも多かったのですが、最近はクレジットカード決済に対応する取引先も増え、経費のほとんどをカードで払っているという事業者も多いと思います。
また、商品・サービスの提供を先に受け、後日支払いを行う場合の勘定科目には「未払金」「未払費用」「買掛金」などがありますが、これらの使い分けは非常に面倒です。
この記事では、経費をクレジットカードで支払った場合の仕訳方法と、未払金、未払費用、買掛金の使い分けをわかりやすく解説します。
目次
クレジットカード支払いは未払金で処理する
クレジットカードを使って経費の支払いをした場合、その費用は「未払金」として計上するのが普通です。
厳密には、経費の内容によって未払金、未払費用、買掛金に分ける必要があります。
しかし他の解説サイトなどを見ても、基本的に「クレジットカード払いは未払金で計上する」という説明を行っていますので、実務のやりやすさを考えても、クレジットカード払いしたものはすべて未払金で処理して問題ないと思います。
具体的な仕訳方法は以下の通りです。
①Amazonでボールペン1本を100円で購入し、クレジットカードで支払った
借方 | 貸方 |
---|---|
消耗品費 100 | 未払金 100 |
②楽天で事務机を2万円で購入し、クレジットカードで支払った
借方 | 貸方 |
---|---|
事務用品費 20,000 | 未払金 20,000 |
③後日、クレジットカード会社から20,100円の請求が来て、銀行の口座振替(自動引き落とし)で決済した
借方 | 貸方 |
---|---|
未払金 20,100 | 普通預金 20,100 |
将来、支払う予定の費用を一旦未払金として計上します。
クレジットカード請求金額の引き落としがあった段階で、積み上げた未払金を取り崩すとともに、普通預金(銀行預金残高)を減らします。
クレジットカードごとに補助科目を設定しておくのがおすすめ
会計ソフトでは「勘定科目」の中に「補助科目」を設定できます。
例えば、「売掛金」という大きな勘定科目の中に「A社」「B社」「C社」という取引先ごとの補助科目を作成しておくことで、どの取引先にいくらの売掛金が発生しているかを把握しやすくなります。
また、「普通預金」という大きな勘定科目の中に「A銀行」「B銀行」「C銀行」という銀行名ごとの補助科目を作成しておくと、どの銀行にいくらの預金残高があるのか把握しやすくなります。
補助科目の設定は、経理を管理しやすくなるだけでなく、ミスを発見しやすくなるというメリットもあります。
上記に従い、クレジットカードを複数枚持っている場合は、「未払金」についてもクレジットカード名ごとの補助科目を設定しておくことをおすすめします。
カードごとに補助科目を設定しておくことで、どのクレジットカードでいくらの未払金が発生しているかがわかるようになりますし、もし金額が合わないときでも、どのクレジットカードで入力ミスが発生しているかを見抜きやすくなるからです。
買掛金・未払金・未払費用の違いと使い分け
発生した経費の支払いを後日行う場合(つまり、先に材料や商品、サービスの提供を受けて、後日費用を支払う場合)、買掛金・未払金・未払費用のいずれかの勘定科目が生じます。
取引の内容ごとに買掛金・未払金・未払費用を使い分けなければならないため、非常にややこしいです。
しかし、要点だけ押さえておけば簡単に理解できます。
買掛金:仕入れなど原価に相当する取引で使う
買掛金は主に、仕入れに相当する取引で使う勘定科目です。
原材料を仕入れて加工する事業者なら、原材料に相当する部分の取引で買掛金を使います。
雑貨販売など、仕入れた完成品をそのまま消費者に販売する事業者なら、仕入れた商品について買掛金を使います。
ポイントは、その取引が「原価」なのか「経費(販売費及び一般管理費)」なのかという点です。
「原価」に相当する取引なら「買掛金」、「販売費及び一般管理費」に相当する取引なら「未払金」として計上します。
未払金:一般的な経費で使う
前述のとおり、販売費及び一般管理費に相当する一般的な経費は「未払金」で処理します。
消耗品費や事務用品費、広告宣伝費、交際費などの経費で、後日支払いをする場合(クレジットカードで支払った場合など)に、未払金を使います。
本業ではない取引(保有資産や有価証券の購入など)の未払い分についても、未払金で処理します。
未払費用:継続的なサービスの提供を受ける場合に使う
未払費用は「一定の契約に従い、サービスの提供を継続的に受けている状態(すべてのサービス提供がまだ終わっていない)」の費用に使う勘定科目です。
未払金が単発の取引であるのに対し、継続課金(サブスクリプション)契約によって、定期的にサービスの提供と支払いが生じている取引は、未払費用に該当します。
未払費用の例:
水道光熱費、給料、携帯電話の通信費、利息、継続的な広告費など
とはいえ、個人事業主・中小企業レベルでは、未払金と未払費用の内容がごちゃまぜになっていても、問題になることはまずありません。(他の会計事務所などのサイトでも同様の見解が述べられています)
実務での簡易さを重視し、私はクレジットカードで支払った費用についてはすべて「未払金」で処理しています。
私はこれまで何度も税務調査を受けていますが、未払金と未払費用を分けていなかったからといって指摘を受けたことは一度もありません。
支払い期限が1年超の未払金は「長期未払金」として固定負債に計上します。
ちなみに「長期未払費用」という勘定科目はありません。また、「買掛金」についてはすべて流動資産に計上します。
仮に、支払期限が1年以上先の買掛金があったとしても、勘定科目は「買掛金」のまま、流動資産に計上します。(長期買掛金という勘定科目はありません)
買掛金・未払金・未払費用の仕訳方法
買掛金・未払金・未払費用ともに仕訳方法は同じです。
基本的にはすべて「負債」であり、後日費用の支払いを実行した段階で、一旦計上した負債(買掛金・未払金・未払費用)を取り崩し、普通預金(現金)残高を減らします。
①取引先から商品を3万円で仕入れ、支払いは1ヶ月後の請求書払いとなった
借方 | 貸方 |
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棚卸資産 30,000 | 買掛金 30,000 |
②1ヶ月後、請求書の内容に従って、取引先に3万円を支払い決済した
借方 | 貸方 |
---|---|
買掛金 30,000 | 普通預金 30,000 |
クラウド会計ソフトなら知識不要で簡単に経理ができる
マネーフォワードクラウド確定申告や、クラウド会計freee(フリー)なら、知識不要で簡単に仕訳入力ができるのでおすすめです。
複数枚のクレジットカードを使い分けている場合でも、クレジットカードごとの明細データを自動的に読み取り、確定申告ソフト(会計ソフト)に半自動で仕訳をしてくれます。
- クレジットカードで支払った経費 → 自動的に「未払金」として提案
- どのクレジットカードで支払いをしたか? → 自動で振り分けして提案
- 支払った経費の内容 → データに基づき最適な勘定科目(広告宣伝費、消耗品費、交際費など)を提案
クレジットカードで支払った経費は、「どのカードで支払ったか?」「未払金でよいか?」を自動振り分けで提案してくれます。
また、支払った経費の内容についても、明細データに基づいて、飲食店での支払いなら「交際費でよいか?」、広告会社名での支払いなら「広告宣伝費でよいか?」と提案してくれます。
私たちは、クラウド会計ソフトのAIが提案してくれた内容を見て、問題なければ「YES」を選択するだけで仕訳入力が完了します。
もし、AIの提案が間違っている場合は、正しい内容に修正をしてあげれば、AIは次回からその修正内容を学習し、正しい提案をしてくれるようになります。
このような学習機能があるため、クラウド会計ソフトは使えば使うほど賢くなっていきます。
私自身、個人事業主1年目のときは簿記や経理のことはまったく理解していませんでしたが、確定申告ソフトのおかげで、無知識でも確定申告を行うことができました。
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