ムダなものを完全に削ぎ落としたコアコンピタンス経営の真髄

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コアコンピタンス

コア・コンピタンスが長期的な競争力を生み出す源泉になります。

あなたは村上ファンドの村上世彰氏が好きですか?それとも嫌いですか?

かつて世間を賑わせた村上ファンドの村上世彰氏ですが、最近では株式市場に舞い戻ってきており、「物言う株主」として活動しています。

村上ファンドといえば、企業の株を大量に買い占め、様々な理由をつけて株価を上昇させ、保有株を売り抜けるという「お金儲け」を目的としている印象があります。

もちろんビジネスとしてやっているのでお金儲けが目的の一つではあるのですが、調べてみると彼らが言っていることは一貫しているとわかります。

株式市場に復活してからも、それ以前のライブドアショック前後のときも、そして村上世彰氏がファンドマネージャーになる前の官僚だったときから、言っていることは同じです。

村上氏が言っていることに耳を傾けることで、中小企業や個人事業主でも何らかの経営のヒントが得られるかもしれません。

前置きが長くなりましたが、今回は村上世彰氏が推進していた「コアコンピタンス経営」についてお話をします。

コアコンピタンス経営とは何か?

一点集中

コアコンピタンス経営とは、自社が強みを持てる1つのことに特化して磨きをかける、一点集中型の経営戦略です。

コアコンピタンスとは「顧客に対して、他社には真似のできない自社ならではの価値を提供する、企業の中核的な力」と定義されています。

コア・コンピタンスは次の3つの条件を満たす自社能力のことである。
・顧客に何らかの利益をもたらす自社能力
・競合相手に真似されにくい自社能力
・複数の商品・市場に推進できる自社能力

企業は既存事業がある程度安定してくると、経営の多角化に乗り出すことが少なくありません。

これは、新規事業を創出するという意味もありますが、多くの場合はリスク分散のために経営の多角化を行います。そして結局、どの事業も中途半端になってしまい、競争力を失ってしまうのです。

1つの事業にもっと磨きをかけることができないか」を常に問いかけ、そしてよりコアな部分に集中し、逆にノンコア(非コア)な事業や仕事は他社に委託をしていきます。

アップルやキーエンスのような「ファブレス」と呼ばれる企業は、自社製品の中核となる「設計」の部分のみに力を入れ、自社で工場は持たず「製造」については外部委託しています。

アップルは毎年、大量のiPhone・iPadを販売していますが、それらを製造しているのは鴻海という中国の会社です。

自社では生産技術を磨かず、彼らがやっているのは生産技術の高いアウトソーサーの選定です。

自社のコアコンピタンスを勘違いしてはいけない

考える

「自社の強みは何か?」を問いかけるのがコアコンピタンスです。

コアコンピタンスはその企業にとって他社が追従できないほどの競争力を持つ優位性の高い部分です。

逆に、コアコンピタンスがないということは他社との差別化ができていないということであり、いずれその会社は衰退してしまいます。

では、自社の強みは何なのか?ということですが、自社のコアコンピタンスを見つける上でのよくある間違いをまとめます。

顧客にとって価値のあるもの
コアコンピタンスは顧客に認知されるものでなければなりません。どれだけ高い技術力を持っている会社でも、それが最終的に利益に結びつくものでなければ、意味がありません。

わかりやすく言うと「無駄な努力」をしてはいけないし、それはコアコンピタンスとは言えないということです。

競争優位性
コアコンピタンスは、同業他社と比較して圧倒的に競争優位が保てる部分のことを指します。業界のどこにでもある能力は、コアコンピタンスではありません。

自社の強みだと思っても、実際はそうではなく業界では既に当たりまえのスキルになっていることも珍しくありません。

上記の2つのポイントから、その会社にとって真に「どんな競合にも負けない強み」だと言える部分を見つけなければなりません。

不要な事業や資産を売却しアウトソーシングする

アウトソーシング

自社が特化すべき1つのコアコンピタンスを見つけたら、そこに「ヒト・モノ・カネ」といった経営資源を集中します。

そのためには、不要なノンコア事業や資産を売却し、バランスシートをスリム化する必要があります。売却によって生まれた現金は、コアコンピタンス事業への投資に使います。

また、他社と差別化しなてくも良い仕事については、すべてアウトソーシングをします。

わかりやすく言うと、経理部門は他社と差別化しなくてはならないわけではなく、また直接利益に結びつく部門ではありません。そこで、経理業務を引き受けてくれる会社にアウトソーシングする。

そうすることで、経理の仕事は自社から切り離すことができますし、一方で経理業務を引き受ける会社は「経理業務に特化したコアコンピタンス企業」としてスキルに磨きをかければよいのです。

すでに、資産のほとんどを売却し「持たない経営」を実現している会社がたくさん存在します。

自社内においては専門性が追求できなかったり、収益が十分に上がらない部分をアウトソーシングし、コア・コンピタンスの部分はM&Aにより強化するといったことが考えられる。

例えば、金融機関がIT分野をアウトソーシングし、一方で為替部門は強化して自らアウトソーサーになる、などということも現実に行われ始めている。

アウトソーシングには3段階のレベルが存在します。

第1段階:短期的利益追求型
コスト削減のために行うアウトソーシングです。前述のような経理業務の外部委託などはそれに当たるでしょう。

簡単に言うと「猫の手も借りたい」ということで、自社でもやれないことはないが、自社で業務をすると時間とお金がかかるのでアウトソーシングするという段階。

第2段階:コ・ソーシング
アウトソーシングの引受先が持っている専門性を活用する段階です。

最も分かりやすいのは「税理士」や「弁護士」です。中小企業が自社で税理士や弁護士を雇用するということは少なく、多くの会社がアウトソーシングしているはずです。

自社で税務や法務の知識を持っていなくても、税理士や弁護士といった専門家に業務をアウトソーシングをすることで、専門的な知識を獲得できます。

第3段階:価値創造型
いわゆる丸投げによるアウトソーシングです。あらゆる部門を専門家にアウトソーシングして、自社のリソースをほとんど使わずに新しい事業を生み出してしまうという段階。

このような「持たない経営」のレベルになると、「バーチャル企業」と呼ばれてもおかしくはないですが、実際にこのようなスタイルのビジネスも登場しているのが実情です。

段階が上がるごとにアウトソーシングの難易度も増しますが、まずは「強みに特化して、そうではない部分はアウトソーシングする」という考え方を定着させるためにも、第1段階(短期的利益追求型)から外部委託を検討してみてもよいと思います。

最近は、クラウドソーシングという、気軽に業務を引き受けてくれる相手をネット上で見つけられるマッチングサービスが流行っています。

私の会社でも積極的にクラウドソーシングを活用しています。使い方によっては個人事業主や中小企業でも業績を飛躍的にアップできる武器になると私は考えています。

少ない予算でも十分活用できるのがクラウドソーシングのメリットです。

クラウドソーシングの詳細についてはこちらの記事で明らかにしています。

村上ファンドが言っていること

役員

村上ファンドが会社に提案している内容を見ると、概ね

  • 無駄な現金や有休不動産を持つな
  • 同じく競争力のない事業は売却し優位性のある事業に特化しろ
  • 利益は主事業に再投資するか配当として株主に返せ

という内容で共通しています。
最近は株主の目も厳しくなってきていますが、以前は上場企業でも無駄に現金を持って遊ばせていたり、収益性の低い不動産を保有していたり、まったく強みがなく力も入れていない事業があったりしました。

もしそれらをすべて売却してお金を作り、コアコンピタンスとなる事業に集中すれば、その会社はその業界で圧倒的No.1になれます。

かつてGEのジャック・ウェルチという人も同じような手法を使って業績を伸ばしてきました。

経営者は「ムダな資産や事業がないか」、「自社の本当の強みは何か」をもう一度深く考えてみる必要があるのかもしれません。

読んだ本。

コア・コンピタンス経営―未来への競争戦略
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アウトソーシングの時代
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執筆者の詳細プロフィール
26歳の時に右も左もわからない状態で個人事業主になりました。2年後、株式会社クートンを設立し、現在10期目です。「いい人」がたくさんいる世界の実現が目標です。「人の価値とはその人が得たものではなく、その人が与えたもので測られる」 - アインシュタイン 姉妹サイト「1億人の投資術」でも記事を書いています。

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