孫正義 「リスク」を「成功」に変える28のルールを読んで学んだこと
執筆者:川原裕也 更新:
※記事内に広告を含む場合があります
私が最も尊敬している経営者は、ソフトバンクの孫正義社長です。
なぜなら、孫正義社長はリスクを恐れずに果敢にチャレンジをし続けており、その姿が社会に多大なる影響を与えていると思うからです。
ソフトバンク社のビジネスがどうというよりも、彼のチャレンジし続けている姿こそが、彼の最大の価値であると私は思っています。
ソフトバンクの孫社長といえば、社会的にはすでに大成功を納めている経営者です。しかし、もう十分な成功を収めているにも関わらず、2012年にアメリカの携帯事業者「スプリント」を買収しました。
このチャレンジでソフトバンクは1兆5,000億円の借金をしています。もし失敗したらこれまで積み上げてきた成功をなくしてしまうかもしれないにも関わらずです。
このような桁違いのビジネスと、いつまでも成功に満足せず新たなチャレンジをする姿を見て、私はこう思います。
「自分はなんてちっぽけなんだ」と。
現在、起業しようと考えていて、それに対して不安を感じて決断できずにいる人。社員のマネジメントが上手く行かず悩んでいる社長。数百万円の借金があり自殺を考えている人。
人には大小さまざまな悩みがあると思いますが、私は彼の姿を見ていると「自分はなんてちっぽけなことで悩んでいるんだ。彼に比べたら自分の悩みなんて小さいことじゃないか」と思い勇気が出ます。
では、孫正義の深い思考と強靭な精神の源泉は一体どこにあるのか。
そのヒントを知るべく、私は一冊の本を手に取りました。
目標を立てて逆算して考える
私が、孫正義社長の過去の発言で印象に残っているのはこの2つの言葉です。
・目標を立てる時は「数字・具体的な目標・期限」が何より重要。なにをいつまでにどんなものをやる。具体的に明確化する。
・自分の持った夢に自分の人生はおおむね比例する結果を生む
個人的なブログにも書きましたが、私自身、どれだけ成功しても人間は「目標」を見失った時に不幸になり迷いが生じると考えています。だからこそ、いかなる場合でも明確な目標を持ち続けることが人生においては重要だと思っています。
では、目標はどうやって立てればよいのか?
目標とは「数字と期限」を設定しなければ意味がありません。目標をより具体化するために数字・期限が必要です。
そして、目標とは自分が到底手がとどかないであろう場所に置くことが大切です。孫社長は、夢(目標)が大きいほど、その人は大きな人生を歩むと言います。
設定した目標があまりに遠すぎると逆にモチベーションが低下してしまいます。
まずは最終目標を設定し、その後その通過ポイントに相当する短期目標(手の届く目標)を設定していくことが大切だと思います。
私は小心者なので「孫正義を超える事業家になる」という目標は到底立てられないのですが、それくらい大きな目標に本気でコミットできる人こそが、大きなことを成し遂げるし、逆にそれくらいの目標を立てなければ大きなことを成し遂げるのは難しいということです。
登る山(目標)が決まったら、目標達成のために必要なことを逆算して導いていきます。
孫社長も度々プレゼンで言っていますが、彼は20代のときに50年計画を立て、そこから「10年、1年、1ヶ月、1週間、1日」という細かいレベルまで逆算して、目標を達成するためにやらなければならないことを落とし込んでいきます。
1日の目標達成が1週間の目標達成となり、それが1年、10年と積み上がり、やがて当初は誰もが想定できなかった大きな目標へと到達することができるのです。
かの有名なアルバート・アインシュタインも「人間が頭で考えることは、すべて実現可能である」という名言を残しています。
つまり、自分が想像できる範囲のことであれば、どんなことでも実現できるのです。彼がすごいのは、その言葉に従って途方もない目標をバカ正直に立てコミットできることです。
決断することがスピード経営の実現につながる
ソフトバンクは過去に様々な事業に参入してきました。一方で、上手くいかずに撤退している事業もたくさんあります。
サービスをスタートするときは、海外から提携先を招いてきたり、大規模に宣伝したりしていますが、数年後に調べてみると、ひっそりと終了しているサービスがかなりあります。
ソフトバンクでは、一定の期間で黒字にならない事業は撤退するというルールがあります。
上手く行かないからといって、もう少し頑張ってみよう、さらに投資をしようということはしません。
私は、損切りが上手な会社は強いと考えています。新規事業が失敗の連続であっても、きちんと撤退できている会社はいずれ成功すると思っています。
上場企業ですらサンクコストの魔力にかかってしまう
以前、某上場企業が注力していた新規事業がありました。そのサービスは生活情報の口コミサイトだったのですが、大きな計画を持って参入したものの、ほとんどユーザーを獲得できませんでした。
本来ならそこですぐに撤退するべきだったと思いますが、社運を賭けた事業だったこともあり1年、また1年とずっと赤字を垂れ流しながら投資をし続けていました。
結果、その事業は最終的に減損となり、今はサービスを終了しています。
過去の投資額が現在の判断に影響を与えることを「サンクコスト(埋没費用)効果」と言います。
サンクコスト効果とは既に支払ってしまった費用・時間・労力のことを考えることで、その後の意思決定に悪い影響を与え、合理的な判断ができなくなってしまう心理のことを指します。
上場企業ですらサンクコストの魔力にかかってしまう中で、ソフトバンクはルールに則ってきちんと決断する。止めるときはスパッと止める。
このメリハリが、リスクの高い大きな投資をしても会社が存続できている理由だと思います。
ハイリスクな勝負でも、軽傷のうちに撤退できるスピードがあれば、チャレンジするという選択肢をとれます。
会議でも同様で「どんなことでも10秒考えればわかる。10秒考えてもわからない問題は、それ以上考えても無駄」というのが孫正義流です。
会議は議論をする場であり、わからないことをその場で考えても答えは出ません。しかし、ビジネスシーンでは何かと「会議室で物事を考えているシーン」が多いように思います。
10秒考えて答えが出ないならその場で会議は一旦終了し、各自が宿題として持ち帰る。明確な目標が設定されているからこそ、「何のためにそれをやっているのか」という目的にフォーカスした行動が取れるのです。
3つ目は、素早く実行して素早くフィードバックすることです。ソフトバンクでは、素早く実行することが求められます。そして、失敗することも批判されません。これは、失敗も含めてフィードバックであり、そのフィードバックを他社よりも早く何回転もすればその分、早く学習することができます
上手く行っても失敗しても立ち止まらない。明確な目標を掲げ、後はそこに向けてスピードを常に意識した行動を取る。
こうしたことが社員にも徹底されているからこそ、ソフトバンクはスピード経営を実現できているのだと思います。
今日読んだ本。
0件のコメント