開業資金を日本政策金融公庫から借りることは可能?
執筆者:川原裕也 更新:
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100%政府出資の政策金融機関「日本政策金融公庫」は中小企業や個人事業主の強い味方です。
もちろん、開業資金を日本政策金融公庫から借りることもできますし、事業を成長させる上では大変お世話になる存在です。
中小企業や個人事業主を主に担当するのは、日本政策金融公庫の「国民生活事業」となります。
日本政策金融公庫の融資商品は非常に数が多いので、どの融資制度を活用すればお得なのか迷う人も多いと思います。
しかしまずは日本政策金融公庫の窓口に相談に行き、希望の条件を提示すれば、最適な融資プランを提案してくれます。日本政策金融公庫は民間の金融機関と違い、利益優先ではないので安心して話を聞いてみてください。
目次
日本政策金融公庫の融資制度はたくさん存在する
日本政策金融公庫の融資制度の中から、特に代表的なプランをまとめます。
いずれも、起業時に活用できる借入プランなので、開業資金として積極的に検討できる案件です。
新規開業資金
これから事業を始める場合はもちろん、事業を始めて7年以内の方であれば融資が受けられます。日本政策金融公庫で開業資金を調達する多くの人が、この融資制度を利用しています。
- 設備資金 最高7,200万円(返済期限 最高20年)
- 運転資金 最高4,800万円(返済期限 最高7年)
現在働いている会社と同じ業種で起業する場合、6年以上の勤続または同業界に6年在籍していれば条件を満たします。
大学や専門学校で学んだ技能と関連する業界での起業をする場合、勤続年数2年以上で条件を満たします。美容室の開業などは、この条件にマッチするのではないでしょうか。
その他、「雇用の創出を伴う事業を始める場合」や「技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める場合」など。
元々が、開業前の資金を融資することを目的としている制度なので、条件クリアのハードルは低いです。
融資してもらえる資金は事業計画書と審査の結果次第ですが、融資限度額は非常に大きいので、この融資だけでも開業資金は十分まかなえると思います。
女性、若者/シニア起業家支援資金
前述の「新規開業資金」よりも有利な利率で借入ができるのが、女性や若者、シニア向けの融資制度です。
条件は下記3つのうちいずれか1つを満たしていること。
- 女性
- 30歳未満(若者)
- 55歳以上(シニア)
女性は年齢を問わずに特別利率で融資が受けられるので積極的に活用したいところ。
条件次第では新規開業資金の方が利率が優遇されることもありますが、最もお得な制度を日本政策金融公庫の担当者が提案してくれるので安心です。
- 設備資金 最高7,200万円(返済期限 最高20年)
- 運転資金 最高4,800万円(返済期限 最高7年)
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)
事業に失敗した経験がある方でも借りれるという再チャレンジのための融資。
下記の3つの条件をすべて見てしていることが条件です。
- 過去に廃業経験がある方(個人事業・法人代表者)
- 廃業した事業が新規事業に影響を与えない程度に整理されていること
- 廃業の理由や事情がやむを得ないものであった
女性や30歳未満の方、シニアの方は借入利率が優遇されます。また、開業する業種について特別な技術やノウハウを有していると認められる場合も、特別利率で融資が受けられます。
- 設備資金 最高7,200万円(返済期限 最高20年)
- 運転資金 最高4,800万円(返済期限 最高7年)
実際に借りれる金額は700万円以下だと考えてください
上記の融資制度を見て「こんなにもたくさん借りれるのか」と思いませんでしたか?
融資限度額は数千万円となっている制度が多いですが、現実に借りることができるお金は数百万円程度です。
中小企業・個人事業主が利用する日本政策金融公庫の国民生活事業によると、1社あたりの平均融資残高は700万円弱となっています。
信用金庫よりもやや大きめの金額を貸し付けているわけですね。
融資先数は90万企業にのぼります。
1企業あたりの平均融資残高は691万円と小口融資が主体です。
融資先の約9割が従業者9人以下であり、約半数が個人企業です。
参照:信用金庫の平均融資額はどれくらい?資金調達する前に公庫の活用を考える
もちろんこれは、日本政策金融公庫の国民生活事業が融資している全体の数値です。まだ実績がない「新規開業資金」の場合、平均融資残高を大きく下回る可能性もあります。
事業計画次第でどうしてもお金がかかってしまうビジネスに対しては融資額も大きくなると思います。しかし、必要としている資金が全額調達できない場合があることも頭に入れておきましょう。
また、日本政策金融公庫は不動産などの担保付き融資となるケースもありますが、原則として無担保です。
過去の実績を見ても約77%の人が無担保でお金を借りているので、自宅を抵当に入れる必要などはありません。
担保を用意しなくても良いほか、日本政策金融公庫は代表者保証を外しやすいという利点もあります。
この点は民間の銀行と大きく違います。
万が一の事業失敗のことを考えると、日本政策金融公庫のような公的機関からの借り入れはとても理にかなっていると思います。
まずは相談してみよう
実際に融資を受けるには審査が必要ですし、細かい条件は担当者に聞いてみなければわかりません。まずは一度、無料相談に申し込んでみましょう。
日本政策金融公庫は基本的に「固定金利」で資金調達できます。
また、民間の金融機関よりも低い利率で融資が受けられることも多いので、資金調達先の候補として常に意識しておくことをおすすめします。
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