ソーシャルレンディングで資金調達、中小企業でも一括返済の融資が受けられる
執筆者:川原裕也 更新:
中小企業の資金調達手段としては、銀行融資・債券の起債・増資(出資)など様々な方法があります。
しかし、その中でも最も一般的なのは金融機関からの融資でしょう。
銀行から融資が受けられない場合は、金利は高いですが消費者金融のビジネス版である商工ローンやビジネスローンから資金調達する手段もあります。
しかし、いずれも元利均等返済や元金均等返済は選択できても、元金一括返済は選べないことがほとんどです。
そこで、新しい資金調達手段として「ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)」を活用する方法が検討できます。ソーシャルレンディングであれば中小企業でも元金一括返済の借入が可能です。
ソーシャルレンディングとは、貸し手と借り手を結びつけ、貸し手となる投資家は一定の利回りを得ることができ、借り手となる企業は銀行から融資を受けることができなくても、ビジネスローンよりも低金利で融資が受けられるという仕組みです。
そして、貸し手と借り手を結びつける仲介業者が数パーセントの手数料を取ることで成り立っています。
下記図はソーシャルレンディングの仕組みを表したものです。
出典:1億人の投資術(姉妹サイト)
ソーシャルレンディングでお金を借りる
ソーシャルレンディングを活用した資金調達は、すでに一部の企業で広がっています。
ただし、ソーシャルレンディングでの資金調達は低金利ではありません。商工ローンやビジネスローンのように、高金利に近いので、短期借入目的での利用にとどめておくことをおすすめします。
借入利率は資金使途や業績、担保の有無によって決まりますが、基本的には「投資家が納得するリターン+数パーセントの業者手数料を乗せた金利」以上でなければ資金は集まりません。
投資家が納得する金利を提示することで資金を募るという意味では平等で合理的な資金調達手段と言えるのかもしれません。
ソーシャルレンディングは、原則として担保付きとなることが多いです。ただし、ソーシャルレンディングでの抵当権は「第二順位抵当権」でも問題ありません。
現状は、主に不動産や太陽光発電所の建て売り業者による資金調達が多くなっています。建設資金をソーシャルレンディングで集めて、完成した物件を売却することで投資家に元本を返済するというサイクルです。
また、パチンコ業界のように最初に新台を導入する資金をソーシャルレンディングで調達し、顧客にそのパチンコ台で遊んでもらうことで資金を回収するというビジネスモデルでも、短期資金の調達需要は大きいです。
ソーシャルレンディングを使った資金調達のもう一つのメリットは、中小企業でも元金一括返済で借りれることです。
資金調達可能なソーシャルレンディング業者まとめ
下記は、お金を借りたい法人を募っているソーシャルレンディング業者と、その条件についてまとめたものです。
残念ながら、ソーシャルレンディングによる借入は原則として個人事業主は利用することができないため、法人限定となります。(クラウドバンクは個人事業主でも借入可)
「資金の貸し手」として資産運用をすることは、個人・法人を問わずに可能です。
クラウドバンク
業界大手のクラウドバンクは、「クラウドバンク・ファイナンシャルサービス」を通じて借入申込を受付けています。
クラウドバンク・ファイナンシャルサービスの最大の特徴は、個人事業主でも借入の申込ができることです。
借入利率は年率6.0%~15.0%(融資事務手数料含む)となっていますが、クラウドバンクで組成されている案件を見る限り、借入利率は10%以下となることが多いのではないか?と思います。
クラウドバンクは豊富な案件を組成することで知られており、これまでにも
- 再生可能エネルギー関連の資金調達
- 上場企業の資金調達
- 中小企業支援の資金調達
など、数多くの貸付を行っています。
クラウドバンクを運営する日本クラウド証券は、横浜市と協定を結んでおり、中小企業の資金調達を支援する取り組みも行っています。
融資型クラウドファンディング「クラウドバンク」が横浜市と協定を締結。中小企業の資金調達を支援
投資型クラウドファンディングサービス「クラウドバンク」を運営する日本クラウド証券株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:大前和徳、以下「日本クラウド証券」)と神奈川県横浜市は12月10日に、クラウドファンディングを活用した資金調達支援に関する協定を締結した。横浜市が今年3月に策定した「チャレンジする企業の資金調達支援戦略」の一環となる。
これまで16億円以上の資金を小口投資家から調達し、中小企業に対して融資を実行してきたクラウドバンクが横浜市内の企業をサポートすることで、横浜市内の中小企業が融資型クラウドファンディングを利用しやすくすることが狙い。高い成長意欲があっても、事業規模や実績によって融資が受けられない企業に対して、新たな資金調達の選択肢を提供することで市内の中小企業の活性化を図る。
出典:日本クラウド証券のプレスリリース
貸付の種類 | 証書貸付 |
借入利率 | 実質年率6.0%~20.0%以内(融資事務手数料を含む) |
返済期間 | 60ヶ月以内 |
担保・保証 | 不動産、有価証券、預金担保、売掛債権 |
借入には原則として担保が必要となりますが、有価証券や売掛債権も担保に入れることができるので、不動産などを保有していない事業者でも担保を用意しやすいです。
maneo(マネオ)
ソーシャルレンディング業界No.1の規模を誇る業者が「maneo(マネオ)」です。
maneoは、三井住友銀行や池田泉州銀行系列のベンチャーキャピタルからも出資を受けている、安心できるソーシャルレンディング業者です。
これまでの成立ローン総額は690億円以上となっており、様々な業種の事業者がmaneoを活用して資金調達をしています。
借入利率は実質年率15%以内であり、決して低くはありません。しかし、年率15%以上の商工ローンで借りている事業者であれば、maneoに借り換えを検討することで調達コストを引き下げることができます。
貸付の種類 | 証書貸付 |
借入利率 | 実質年率15%以内 |
借入金額 | 10万円~ |
返済期間 | 60ヶ月以内 |
担保・保証 | 連帯保証人・担保をお願いする場合があります。 |
手数料 | 不要(ただし、印紙税等租税公課、振込手数料や口座振替手数料の銀行手数料はお客様のご負担とさせていただきます) |
maneoの仲介手数料は約3%程度となります。
つまり、年率10%で資金調達をした場合、投資家リターンが年率7%になるということです。
まとめ
ソーシャルレンディングを活用した資金調達は、まだまだ一般的とは言えません。
しかし、主に投資家(貸し手)としてソーシャルレンディングを使っている私から見ると、借り手と貸し手をつなぐソーシャルレンディングというのは、とても合理的な仕組みだと思います。
ソーシャルレンディング業界の市場規模は徐々に拡大してきています。
今後、ソーシャルレンディングを使って資金調達手段を多様化する事業者はさらに増えると思います。
また、セゾンファンデックスのような不動産担保ローンであれば、既に抵当権を設定している不動産物件に対しても、第二順位の抵当権を設定することで、融資に応じてくれる場合があります。
セゾンファンデックスはノンバンクですので、借入利率はやや高めですが、不動産担保を用意できるのであれば検討に値する借入先です。
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