ドライブファイルストリームのメリットと料金は?Google Workspace最強の機能が登場
執筆者:川原裕也 更新:
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Googleドライブには、2つのデスクトップアプリケーションが存在します。
以前は「Googleドライブ(デスクトップアプリ)」という名前だったのですが、2017年に2つのアプリに分けられました。
- Backup and Sync(バックアップと同期)
- Drive File Stream(ドライブファイルストリーム)
この記事では、「ドライブファイルストリーム」と「バックアップと同期」の違い・利用条件に加えて、ドライブファイルストリームの利用メリットについてわかりやすく解説します。
また、競合他社が提供するDropbox社の「スマートシンク」、マイクロソフト社の「OneDrive(ファイルオンデマンド)」との比較も行います。
目次
ドライブファイルストリームとバックアップと同期の違い
冒頭でもお伝えしたとおり、現在のGoogleドライブのデスクトップアプリは、
- Backup and Sync(バックアップと同期)
- Drive File Stream(ドライブファイルストリーム)
の2つに分けられます。
両者の違いを一言で説明すると「バックアップと同期が個人向け」「ドライブファイルストリームがビジネス向け」となります。
「バックアップと同期」は個人ユーザー(無料ユーザー)でも利用可能です。
一方で、「ドライブファイルストリーム」はGoogle Workspaceの契約者のみ利用できます。ちなみに、Google Workspaceユーザーは「バックアップと同期」も合わせて使えます。
無料ユーザー・Google Workspace契約者に関係なく使えるサービスです。
クラウド上にあるGoogleドライブの「マイドライブ」と、自分の使っているPCの「Googleドライブフォルダ」を同期できます。
一部のフォルダのみを同期させることも可能です。
また、自分の使っているPC内の「Googleドライブフォルダ」以外のフォルダも、同期させることができます。(Googleドライブにバックアップしておきたいフォルダなどを指定可能)
Googleドライブ上にあるファイルはすべて、自分の使っているPCにダウンロードされます。
つまり、Googleドライブに100GBを保存している場合、自分の使っているPCも100GB分のファイル容量を消費します。(←ここ、重要です)
Google Workspace契約者のみが利用できるサービスです。
自分のPCにアプリをインストールすると、PC内に「Gドライブ」が作成されます。
「Gドライブ」は、「Cドライブ」などと同様に使うことができます。
Gドライブに保存したファイルは、自動的にクラウド上の「Googleドライブ」にアップされます。
自分の使っているPC(ローカル)にはダウンロードされないため、Gドライブに大量のファイルを保存しても、自分のPCのストレージ容量は消費しません。
Gドライブに保存したエクセルファイルなどを開きたいときは、クリックするだけで、そのファイルのみが即時にダウンロードされ、ファイルを開くことができます。
編集作業が終わり、ファイルを保存して閉じたら、そのファイルは再びクラウド上にアップされます。
PC内のストレージ容量を消費しないというのが、ドライブファイルストリームのメリットです。
一方で、「Gドライブ」以外のフォルダを同期させることはできません。
両者の違いがわかるでしょうか。
「バックアップと同期」は、すべてのファイルを完全同期するため、自分の使っているPCにも、クラウド上のGoogleドライブにも、同じファイルが常に存在します。
つまり、Googleドライブに100GBを保存すると、自分のPCのストレージも100GB分を消費することになります。
しかし、「ドライブファイルストリーム」は、自分のPCのストレージは消費せず、保存したファイルを完全に、クラウド上のGoogleドライブに預けられるサービスです。
使用感としては、あたかも自分のPC内に「Gドライブ」という名前のストレージが追加されたような感じです。
指定した一部のファイルを、ローカルPCにダウンロードしたままにしておく(同期した状態にしておく)ことも可能です。雲のアイコンは、ファイルがクラウド上のGoogleドライブにのみ、保管されていることを示します。
こちらのページに比較表が掲載されています。
無料のGoogleアカウントでアクセスすると「バックアップと同期」のダウンロード先が示されます。
Google Workspaceアカウントでアクセスすると、「バックアップと同期・ドライブファイルストリーム」のダウンロード先が表示されます。
Google Workspaceなら5TB以上のストレージ容量も
ドライブファイルストリームは、Google Workspaceユーザーだけが利用できるサービスです。
料金プランに限らず、すべてのGoogle Workspace利用者がドライブファイルストリームを使えます。
また、Google Workspace Business Standardプランなら1ユーザーあたり2TB、Business Plusプランなら5TBのオンラインストレージが提供されます。
※全ての料金プランにおいて、追加料金を支払うことでストレージ容量をさらに拡張することが可能です。
ドライブファイルストリームを使うと、PCを購入するときに「ストレージ容量」を気にする必要がなくなります。
最も安価な「ストレージ容量の少ないPC」を買っても、容量の心配はありません。
なぜなら、クラウド上に大容量の保管庫があり、ファイルを使うときだけダウンロードしてくるといった使い方ができるからです。
▼Google Workspaceの料金プランとストレージ容量
- Business Starter
- 月額748円(税込)。ストレージ容量は30GB。
- Business Standard
- 月額1,496円(税込)。ストレージ容量は2TB
- Business Plus
- 月額2,244円(税込)。ストレージ容量は5TB
※全てのプランで追ストレージ容量の追加購入が可能
高いセキュリティで情報漏えいを防ぐ
保存したファイルを完全にクラウド上に預けられる「ドライブファイルストリーム」は、セキュリティ面での安全性も高いです。
これは、ドライブファイルストリームの隠れたメリットだと思います。
社内PCを紛失してしまうというニュースをたまに見かけます。
企業にとって、社内PCの紛失は死活問題です。大切な顧客情報が流出してしまい、信用を落としてしまうことにも繋がりかねません。
昨今、モバイルワークが浸透してきたことで、PCを社外に持ち出して利用したり、営業ツールとして使うシーンも増えています。
悪い言い方をすると、ワークスタイルが変化する一方で、大切なデータが入っているPCを紛失するリスクは高まっているのです。
しかし、ドライブファイルストリームを使うと、もし会社のPCが紛失・盗難といったトラブルにあっても安心です。
なぜなら、「ファイルやデータはPC内には一切保存されていないから」です。
PCの紛失が発覚した時点で、対象PCからGoogleアカウントをログアウト状態にします。これはGoogle Workspaceの管理ツールから遠隔操作で行えます。
すると、盗まれたPC内の「Gドライブ」からファイルを展開しようとしても、ローカルPCにファイルをダウンロードできないため、ファイルを開くことができないのです。
クラウド上にファイルを預けるということは、手元にあるPCを「大切なデータが詰まった貴重なもの」から「重要度の低い、ただの箱」に変えてしまうのです。
では、クラウド上にデータを預けることにリスクはないのか?という問題については、下記の記事で取り上げています。
ドライブファイルストリームのデメリット
逆に、ドライブファイルストリームにもデメリットがあります。
オンライン上にのみファイルを保存しているため、オフライン状態(ネットが繋がっていない状態)ではファイルを開くことができません。
Google Workspaceで提供されている
- ドキュメント(ワード)
- スプレッドシート(エクセル)
- スライド(パワポ)
には、オフライン機能が付いているため、簡易的な資料の作成・編集であれば問題なくこなせます。
もっとも、現在はオフライン状態でデータにアクセスすることの方が少ないですし、ドライブファイルストリームにも、このデメリットを解消する機能が提供されているので、心配ありません。
あらかじめ、オンラインに保存したファイルを右クリックし「オフラインで使用可能にする」を選択しておきます。
「オフラインで使用可能にする」が選択されたファイル・フォルダは、ローカルのPCにダウンロードされた状態で同期されるので、オフライン状態でもファイルを展開することが可能です。
オフラインでの利用が想定されるファイルは、あらかじめ右クリックして「オフラインで使用可能にする」にチェックを入れておきましょう。
これだけで、ドライブファイルストリームのデメリットは問題なく解消できます。
スマートシンクとファイルオンデマンドとの比較
Googleドライブの「ドライブファイルストリーム」の競合サービスとなるのが、
- Dropbox:スマートシンク
- マイクロソフト:OneDrive(ファイルオンデマンド)
です。
Dropbox(ドロップボックス)が提供する「スマートシンク」も、マイクロソフトのOneDriveで提供されている「ファイルオンデマンド」も、「クラウド上の保管庫にファイルを預けられる」サービスです。
サービス面で大きな違いはありませんが、ストレージ容量や料金プランにおける違いがあります。
Dropboxでスマートシンクが使えるのは、
- Dropbox Plus(個人向け)
- 月額1,320円(税込)。ストレージ容量は2TB。
- Dropbox Professional(個人向け)
- 月額2,200円(税込)。ストレージ容量は3TB。
- Dropbox Business Standard以上
- 1ユーザーあたり1,375円(税込)から。ストレージ容量は5TB。
の料金プランとなります。
無料プランでは、スマートシンクは使えません。
Dropboxの「Plus」と「Professional」は個人向けです。個人でも「Dropbox Business」の利用が可能ですが、最低3ユーザーからの契約となります。
マイクロソフトのOneDriveでは、ファイルオンデマンド機能自体は無料プランでも使えます。
ドライブファイルストリームと同等の機能を無料で使うなら、OneDriveのファイルオンデマンドがおすすめです。
ただし、OneDriveの無料プランはストレージ容量が5GBしかありません。
ストレージ容量を増やすためには、Microsoft365への加入が必要です。
- Microsoft365 Personal(個人向け)
- 月額1,284円(税込)。年間契約なら月換算1,084円(税込)。ストレージ容量は1TB。
- Microsoft365 Business Standard
- 1ユーザーあたり月額1,496円(税込)。ストレージ容量は1TB
Microsoft365 Personalは「個人向け」となっていますが、個人でも「Microsoft365 Business」の利用が可能です。
ファイルストリーミングの可否と、ストレージ容量・料金を比較してみると以下のようになります。
サービス名 | ファイル ストリーミング |
ストレージ容量 | 料金 |
---|---|---|---|
Google(無料アカウント) | × | 15GB | 無料 |
Google Workspace Business Starter | ○ | 30GB | 月額748円 |
Google Workspace Business Standard | ○ | 2TB | 月額1,496円 |
Google Workspace Business Plus | ○ | 5TB | 月額2,244円 |
Dropbox Plus | ○ | 2TB | 月額1,320円 |
Dropbox Professional | ○ | 3TB | 月額2,200円 |
Dropbox Business | ○ | 3TB | 月額1,375円 |
OneDrive(無料アカウント) | ○ | 5GB | 無料 |
OneDrive 100 GB | ○ | 100GB | 月額224円 |
Microsoft365 Personal | ○ | 1TB | 月額1,284円 |
Microsoft365 Business Standard | ○ | 1TB | 月額1,496円 |
※いずれのサービスも、ビジネスプランを個人が利用することもできます。(Dropbox Businessは最低3ユーザーの契約が必要)
※料金は10%税込です
OneDriveには100GBプランが用意されています。
ストレージ容量は100GB増えればよく、ファイルオンデマンドを使いたいという方にとっては、このプランもおすすめです。
その他のプランを比較してみると、やはりGoogle Workspaceが強いですね。最近はDropboxも、ストレージ容量の拡充やPlusプランでのスマートシンク開放など、サービスの拡充に努めています。

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